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【取引材料】
「情報だと?」
「えぇ」
花音の声に興奮が滲む。
「最近貴方に近づいてくる『犬』の正体をご存じ?」
犬という比喩表現に閃くものがあった。監視者のことだ。
「知ってる」
「いいえ知らないはずです」
少女の言葉には絶対的な自信がみなぎっている。
「それが何だ」
「明日詳しくお話致しますわ」
「なぜ直接会うことになる?」
「安全のため」
「ふざけるな」
「お願いです」
急に声色が柔らかくなる。
「柚希さんを傷つけたくないでしょう?」
その一言でヨシオの眉間の皺が深まった。
「どういう意味だ」
「詳細は明日」
花音の声が急に遠のく。
「指定した場所へお越しください」
「場所なんて──」
切断音が虚空に響いた。
ヨシオは呆然と画面を見つめる。既に着信は切れている。
(完全に舐められてるな)




