前へ目次 次へ 112/230 【過去の亡霊】 駐輪場まで辿り着いた時脳裏に甦るのは十年前の光景だ。 当時二十二歳だったヨシオが初めて失恋した晩。 泥酔した挙げ句ホームに突っ伏した情けない姿を妹に見つかっていしまい 「お兄ちゃんいつか後悔するよ」という妹の言葉を笑い飛ばした当時の愚かしさ。 まさか今日この日にそれが蘇るとは。 「後悔……か」 夜風が肌を刺すが心は昂ぶったままだ。 脳裡に焼き付いた柚希の横顔。 唇の柔らかさ。 制服越しの体の丸み。 雨粒を弾く頬の潤い…… 何もかもが鮮烈すぎる。