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【真実を纏う偽り】
「ああ紗月ちゃん」
ヨシオが努めて平常を装いながら迎えた。
「ちょうど書類整理してたとこなんだ」
「そうなんです!」
柚希も続いた。「忘れ物を取りに来たんですけどヨシオさんにお手伝いいただいて……」
紗月の目が鋭く光る。
明らかに不信感を抱いている。
「本当にそれだけ?」
一歩踏み込みながら問いただす。「ずいぶん長かったみたいですが」
緊張が頂点に達した瞬間──
「それは俺の責任だ」
ヨシオが自ら進んで砦を崩した。
「昔の資料が懐かしくてつい見入ってしまってね。彼女には付き合ってもらって悪いと思ってる」
一瞬の沈黙。紗月の眉間の皺が緩む。
「そうですか……」
半信半疑の表情だったが追求はせず、「じゃあお邪魔しました」と踵を返しかけた。
その背中に柚希が呼び掛ける。
「ありがとう紗月。心配してくれて」
振り返った紗月の表情に微かな笑みが浮かんだ。
「気をつけて帰ってきてね」
そして資料室を後にする。
扉が閉じる音と共に二人は安堵の溜息を吐いた。




