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【狂おしい誘惑】
ヨシオの嗅覚は悲鳴を上げた。
少女特有の甘酸っぱい芳香と塩分を含んだ汗の匂いが複雑に混ざり合い鼻腔を満たす。
それは中年男性の免疫システムにとって未知の化学兵器だった。
「ふぅ……」
ヨシオが微かに息を吐く。
「柚希っていい匂いがするな……」
無意識のうちに漏れた一言だったが瞬間的に後悔する。
淫らな発言として受け止められる恐れがある。
だが柚希はまるでその言葉を待っていたかのように顔を上げた。
涙に濡れた睫毛の間から潤いを帯びた切れ長の眼。
二人の視線が糸のように結ばれた瞬間だった。
湿った唇が磁石のように引き合い、互いの熱い吐息が頬を撫でる──その刹那。
ガンッ! ガンッ!
鈍い衝撃音が密閉された空間を切り裂いた。




