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7/13

そのふたつ弍/04「 ぼく と もく 」

 ボク と モク の付き合いは、 とても長い。

 「付き合い」 という言い方が 合っているのかどうかというと、 多分 全く合っていなんだけど。

 モクは、 ボクが四歳の時に ボクの中にやってきた。

 「 イマジナリー 」 と呼ばれるもの(・・) だ。

 モクには、 モデルとなっている 「ヒト」 がいたそうだ。 お父さんが 昔一度だけ話してくれたことがある。

 実在していた 「ヒト」 

 お母さんの お兄さんだった 「ヒト」

 小さい頃に 行方不明になってしまったんだそうだ。

 行方不明、 というか 「カミカクシ」 だったんだ と、 その時 お父さんは言っていた。

 昔の そのお兄さんの映像を、 不自然に荒いデータの記録を、 その時見せてもらったんだけど。

 今のモクとは 似ても似つかない見た目だった。

 だって、 映像で見たその子は まだ五歳くらいの小さな男の子だったから。

 今のモクの姿は、 お母さんが想像で描いた 成長したお兄さんの姿 だということらしい。

 しかし。

 その話が 本当のことだったのかどうか、 実は ボクはちょっとよく分からないでいる。

 あれ以降、 気になって もう一度お父さんに話を聞こうとしたんだけど、 なんだか誤魔化すような感じで それきり話してくれない。

 お母さんに聞くことは出来ない。

 お母さんは、 ボクが四歳の時に。

 モクが、 ボクの中にやってきた直後に、 いなくなって(カミカクシにあって) しまったから。

  − 妹 と 兄 が、 向うの世界とこちらの世界で、 入れ替わり 取り換えられた −

 そんな 「お話」を思い付いてしまったのは、 ボクがもっと大きくなってからの事だったけれども。

 何となく 「 おとぎ話 」 っぽい そのイメージは、 ボクの頭の隅にこびりついてしまった。

 少し怖い 「おとぎ話」。

 だからって言う訳じゃないけど、 モクは ボクの中で お母さんのイメージと重なってしまっている処がある。

 ・・・ 口うるさいお母さん ・・・

 本当のお母さんの事なんて、 全く思い出せないんだけども。


 ・・・・・・・・・・・・


 家全体を覆っている奇異な静寂に、 違和感 と 嫌な予感 を感じながら 二人 は家から出た。

 集学( 集団学修 ) が行われている 「肥土山(ひとやま)イエナクルーシブセンター」 まで、 いつもの登学ペースで 約30分。

 モク が連絡している予定時刻まで あと25分。

 かなり 急ぐ必要がある。

 ミシルを急かそうと、 モクが口を開きかけた その時。

 突然、

 ミシルの視界の左上、 「 通知情報エリア 」 に キャラクターアイコンが現れた。

 「 みぎわ先生 」 の着信用キャラクターだった。

 −− ※ −− −− −− −− −− −− −−

  : 三種祇 汀 (みくさぎ みぎわ) 『 みぎわ先生 』

 集学プログラムにおいて、 ミシルが参加している小グループの指導補助を行っている 副担当の先生( 実習生 ) 。

 いつも、 主担当である 「 ロクちゃん先生 」の いい加減な言動に振り回され、 尻拭い役に成り果てている かわいそうな先生だった。

 −− −− −− −− −− −− −− ※ −−

 ミシルが目線と 指のスリック( ジェスチャー操作 ) で受信承認を行うと、 アイコンが裏返り [ SoundOnly ] 表示となって、 音声通信が始まった。

 歩行中の安全規定のため、 強制的に音声通信モードに切り替わっている。

 「 観知(ミシル)さん、 もう こちらに向かっていますか?  」

  「 あっ 先生、 ごめんなさい。 あと10分で着きます。 」

 ミシルは 距離と時間に関して、 かなりな感覚音痴であった。

 「 こちらこそ御免なさい。 ちょっと連絡が遅れちゃって 」

 「 今日、 急に休学になっちゃったの 」

 みぎわ先生の口調に、 僅かにイラっとした感情が混じっていた。

 ミシルは、 その状況の元凶に検討がついてしまった。

  「 また、 ロクちゃん先生ですか?  」

 「 急に用事が入った とか言ってると思ったら、 いつの間にかいなくなっちゃたのよ 」

 「 全然連絡も繋がらないから、 私 今から鹿砦(サカモギ)先生の家に行ってみるんだけど ・・・ 」

 「 ということで、 今日の集学はお休み。 観知(ミシル)さんも家を出たばかりみたいだったからよかったわ 」

 当然、 ミシルの位置情報は把握されていた。

 「 明日の予定も、 ちょっと分からないから また連絡するわね。 じゃあ おやすみなさい 」

 ミシルは帰って、 また 寝るものと決めつけられていた。

 −− ※ −− −− −− −− −− −− −−

 : 鹿砦 央海 (さかもぎ おうみ) 『 ロクちゃん先生 』

 今季(秋季) の集学で、 ミシルが参加している 小グループの担当教員

 ミシルの父親である 八首 高瀧 (やがしら たける) [ 旧姓:佐伯(さえき) ] の旧友ということらしい。

 前季(春季) の集学で初めて会った時に知った事だったが、 そのせいか ミシルに対する態度は 始めから妙に馴れ馴れしいものだった。

 しかし、 直ぐに分かったのだが、 ロクちゃん先生は誰に対してもほぼ同じ態度であった。

 そして、 それ以上にいい加減で無責任だった。 ( いい意味? で? )

 そういう所が、 一部生徒からは 非常に人気であった。

 が、 生徒のイマジナリー達からは総じて嫌われていた。

 実際、 モク はかなり毛嫌いしていた。

 ( イマジナリー達の基本の思考は、 パートナーである生徒を危険から守る事を優先させるているため、 仕方がない事ではあった。 )

 モクの推しは、 ミギワ先生だった。

 −− −− −− −− −− −− −− ※ −−

  「 まぁーた! あいつか!  」

 事情もよく分からない状況で、 モクは必要以上に怒って文句を言っていた。

 ミギワ先生に迷惑を掛けている事が気に食わないのだ。

 「 何か大変な事があったのかもよ 」

  「 絶っっ対、 無い! あったとしても関係無い!  」

 「 まあ、 ボクが寝過ごしたのも悪かったし。 」

  「 ・・・・・・ いや、 それは本当に関係ない。 」

 急に冷静になる モクだった。

小説投稿サイト 「カクヨム」にて、

並列ストーリー


「 つくもぶね [ 境外宇宙より来襲する超常天体に抗する3人の厄災級異才者と人造意識体たち ] 」


を 投稿中。

https://kakuyomu.jp/works/16818093073160539410

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