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第十七話 ドジっ娘メイドの趣味と嗜好――コロン

いろいろなメイドの良いところを吸収して、まずまずの接客となってきた五味ですが、彼女たちの身体から滲み溢れるような可愛らしさだけは表現することは出来ません。そんな時、五味はドジっ娘メイドのコロンと話をする機会を得ます。

第十七話 ドジっ娘メイドの趣味と嗜好――コロン


 十一日目水曜日。

「ようこそいらっしゃいました!」

 入店したお客にいち早く気がつき、五味は足を踏み出す。そしてすかさず、おしぼりとメニューを手に持つ。お冷やはお客を席に案内してからで良い。あまりに一度に持って行き過ぎると、お客は慌ただしく感じる。そしてなによりミスの元だ。臨機応変に、そして責任感を持って。それはメイに教えて貰ったことだ。

「それではご注文がお決まりになった頃にまた伺います」

 そして、いおりをイメージして、にっこりと笑顔。最近は自宅でも鏡を見て笑顔の練習をしている。学校でも昼休みに園城に練習を付き合って貰っている。最高の笑顔ではなくとも、お客に叫ばれるほどの不気味さはなくなったと思う。そしてサエをイメージして深々とお辞儀。「十四番テーブルさんのクリームソーダ出来たよっ!」

 キッチンから慌ただしい声が聞こえてきた。忙しいときはキッチンも戦争状態だ。

「はい! 私が!」

 すかさず五味はクリームソーダをトレイに載せ、危なげない足取りでお客様の元へ。クララの積極性、麗子サマの克己心。彼女らが乗り移ったことをイメージして五味は行動する。自分は今でも最底辺メイドだということを自覚している。だが、少なくともこの『フェアリーズ・ガーデン』が始まった頃に比べれば、『ゴルディアス』のみんなに恥を掻かせないくらいまでには上達したと思う。

 だが――

「ああん? アタシとツーショット写真を撮りたいだあ? キモイヤツだなあ、おめえ。しゃーねえな、いっちょ付き合ってやっか」

「……私、あまりお絵かきが得意ではないのですが……。えい、えい、えい! どうですか、なかなかに可愛らしいワンちゃんが……え? タヌキ? ち、違いますよ。ああん、もう」

 とてもアネゴやアキのように個性的でなおかつ魅力的な接客が出来ない。

 更には――

「お待たせしましたぁ! はいっ、アメリカンですぅ! お客様、砂糖とミルクはお使いですかぁ? あ、ブラックで。分かりましたぁ。それではこちらのコーヒーがおいしくなるようにまぜまぜさせて頂いてもよろしいでしょうかぁ? え? ブラックなのになにを『まぜまぜ』するのかって? うーん、なんでしょうねぇ。きゃははは」

 そんな超絶マイペースの接客をするコロンのような真似が出来ない。一歩間違えば、相当な大失態メイドなのだが、コロンの持つ独特の大らかさというのか、雰囲気というのか、オーラというのか、そんななんだか分からないしろものがコロンを憎めなくさせている。アネゴにしろ、アキにしろ、コロンにしろ、とてもじゃないが、そんなものは会得することが出来ない。

 いろいろな人たちのおかげもあって、自分のメイド技術は上がった。意識も変わってきた。だが、自分には決定的なものが抜け落ちている。それはやっぱり『萌え』なんだろうと、思う。それは自分の得票数に如実に表れている。トップのメイドはすでに二百を越える票を得ているというのに、自分はたったの『一』だ。そしてその『一』も園城が入れてくれたものだ。出所が知れている一票だ。つまり、園城の同情票がなければ、自分はまだ得票『0』なのである。その理由は間違いなく自分が『萌え』ないから、可愛くないからであろう。とにかくコンテストに出場しているメイドは自分を除いてみんな可愛い。ランキングが下位のアネゴ、コロン、アキでさえ、可愛さは天下一品なのである。

「ごっちん! オーダー出来上がったよ!」

 キッチンから鋭い声が飛んできた。そこで五味は、はっと我に返る。

 いけないいけない。こんな忙しい中で私は何をぼけっとしているんだ。可愛くない私は、普通の接客で頑張らなくてはいけないのだ。

 そう気合いを入れ直した五味はキッチンから出来上がったチョコレートパフェをトレイに載せるとしっかりと足を踏み出す。


「お疲れさーん」

 ホールの掃除が終了し、照明を落としたところで、バイトはようやく終了した。五味は、ほっと安堵の息を漏らす。ほうきとちり取りを片づけようと清掃器具用ロッカーに向かうとそこで、やはりロッカーにモップを仕舞おうとしていたメイドと鉢合わせになる。

「あ」

「うひゃ、ごっちーん。あは」

 そのメイド、コロンはそう嬉しそうに微笑むとロッカーを無造作に開ける。

「あ、いきなり開けると……」

 五味がそう言うのとほぼ同時にロッカーからどさどさと立てかけてあったモップやらほうきが倒れかかって来た。その被害をまともに受けたのはもちろんコロンだ。コロンの頭にまるでカツラのようにモップが被さっている。

「……やっちまいましたとさ。えへへへ」

 ああ、ドジっ娘。でも見ていてなんだかほっとする。これがコロンの魅力なんだろう。

 一緒にロッカーの中を片付けているとコロンはぴょこんと飛び跳ねて頭を下げた。

「ごっちん、ありがとさん。良かったらジュース一本おごるけど、何がいいかなぁ?」

「え? ……そんなたいしたことしていないから、別に……」

 五味がそう言っているのにも関わらず、コロンは「まあ、いいからいいから。あはは」と言ってずんずんと自動販売機のある更衣室へと歩き始めてしまう。

「ちょ、ちょっと」

 結局自分も着替えなくてはならないので、仕方が無くコロンの後を着いていく。

「あ、くま店長」

 途中、店長室から牛久店長がなにか慌ただしげに、出て行った。五味もコロンも目に入らないようだ。せっかく声を掛けたのに無視された格好になったコロンは不満げに頬を膨らませる。

「ぶー。無視しなくても良いじゃないぃ」

 でも確かに普通の態度じゃなかった。店長はどんな時でも挨拶でも欠かしたことがなかったのに。何かあったのだろうか――。

 だが、そんな些末な疑問などはすぐにどこかに吹き飛んでしまった。五味とコロンはいつの間にか更衣室に到着する。他の皆はもう着替え終わったようで、すでに更衣室は空っぽだ。いつも一緒に帰っているアキは「今日はこの後、家族で外食なんです」だそうで、今日はすでに帰宅してしまっている。ロッカーから小銭入れを取りだしたコロンは威勢良く自動販売機にちゃりんちゃりんと金を入れて行く。

「ささ、ごっちんはこの『高麗人参ソーダ』で良いんだっけぇ?」

「私はそんなことは一言も言っていない!」

 危うく『高麗人参ソーダ』のボタンを押しそうになったコロンの指を寸前で押しとどめて、ブラックコーヒーのボタンを押した。大人しくコロンのおごりを受け入れることにしたのだ。

「せ、せっかくだから頂く」

「うんうん、そうして。あれ、ごっちん。ブラックコーヒーなんだねぇ。渋いね。あは」

「……やっぱり、そう思うか」

 五味は今し方買ったブラックコーヒーを手の中でもてあそびながら、そう呟いた。

「やっぱりブラックコーヒーなんか飲む女は『萌え』じゃないよな。可愛くないよな。私はコロンさんのように個性的で可愛くはなれない……って、ちょっと!」

 そう独り言のように呟きながら、ふと顔を上げるとコロンは「なに?」と不思議そうな顔をしながら『高麗人参ソーダ』のボタンを押した。自動販売機は、機械的にその命令を受け付け、下の取り口から目的のブツを、がこんと吐き出す。

「な、な、な」

 ここまでドジっ娘かっ! と五味は愕然とコロンの身体のつま先から頭のてっぺんまで視線を往復させた。だが、そこからコロンは更に驚愕の行動に出る。軽快に『高麗人参ソーダ』のキャップを開け放つと、腰に手を当てて飲み始めたのだ。

「え? え? え?」

 疑問を口に出す間もなく、コロンは一気にそれを飲み干してしまい「くぅ。この一杯の為に生きているのですなぁ」とおどけた調子で首を振る。

「ま、間違えて買ったんじゃなかったのか……」

「ん? コレ? うん、私の大好物だよ。きゃはは」

 少々意外だった。見た目と言動から推察するに、コロンはもう少し可愛らしい飲み物が好みかと思っていたのだ。

「ところで、さっきの話だけどぉ」

 コロンはあどけない笑顔の中に少し大人びた瞳で五味を見つめる。

「ごっちんは、たっぷり個性的で、ばっちり可愛いよぉ」

「そんなこと、ない! こんな外見だし、コーヒーはブラックだし、趣味は競馬に釣りだし」

「ううん」

 コロンはまくし立てる五味の言葉を遮るように首を横に振る。

「ごっちんは、おめめが綺麗で素敵じゃない。それに笑顔がとっても『萌え』だよぉ」

「笑顔が? お世辞なら止めてくれ。私の笑顔はお客も叫び出すほどの凶悪な笑顔だ」

「違う違う。そんな無理矢理の笑顔じゃなくて、時々アキちゃんやさとりんと話している時とかに見せる笑顔だよぉ」

「え?」

 そんな笑顔をしていたのだろうか? と自分で自分を振り返るが、もちろん随時鏡を見ているわけもないので、分かるわけもない。

「それに趣味が競馬や釣りだって言うけど、私だって趣味は『神社仏閣巡り』だよぉ」

「じ、じんじゃぶっかく……?」

「うん。最近は御朱印を貰うのにハマちゃって。一宮専用御朱印帳なんてのも買っちゃってねぇ。そん風に好きな物は好きでいいじゃん。でさ、そんな話をお客さんとするのが、楽しいんだよぉ」

 そうか、と思った。普通の喫茶店とメイドカフェの違いの一つはお客との会話の多寡である。秋榛原という立地のせいか、はたまたメイド服というコスプレのせいか、お客とオタク話をしているメイドは多い。だが、アニメ、マンガを全く読まない五味はその手の話に加わることが出来ず、忸怩たる思いをしていたのだ。なるほど、話が合えば競馬の話や釣りの話をお客としたって良いのだ。五味は目からウロコが落ちた気分がした。

「メイドカフェに来るお客さんって年齢層が高いから、意外とごっちんの趣味とぴったり合うお客さんは多い気がするよぉ。それってさ、間違いなくごっちんの個性だよねぇ」

 と、その時、慌ただしいいくつもの足音が部屋の外の廊下を往復する音が聞こえてきた。それに合わせて緊張した声も混じって聞こえてくる。五味とコロンは同時に扉の方へ顔を向けた。

「? どうしたんだろうねぇ?」

 コロンがつかつかと扉に歩み寄り、遠慮気味にそれを開くと、ちょうど急ぎ足で事務所の方に向かうスタッフの一人と目が合った。

「なにかあったんですかぁ?」

 その問いかけに一瞬口ごもったスタッフだったが、すぐに気を取り直したように口を開く。

「……どうせ、キミらには知らされることになると思うから言うけどね。実はさ……」


****************************************


 『ゴルディアス』のバイトが終わった園城は素早く身支度を整えると、『フェアリーズ・ガーデン』の会場に向けて歩を進めた。バイトを上がってから携帯電話を確認した園城は五味からのメール着信があったことに気がついたのだ。

『アキ、親と夕食につき、先に帰る。よって一緒に帰ることを希望する』

 五味からのメールはメアドを交換してからは初めてだったが、そのメールを一読して、「電報かよ」と肩を竦めた。コンテストの話も訊きたかったので、その申し出は園城としては異存はないところだ。すぐさま『了解』とだけ書いて返信した。

 ものの数分で会場に到着する。

 すでに閉店した『フェアリーズ・ガーデン』の周りは閑散としており、歩いているのは、仕事帰りのサラリーマンや、後片付けなどで巡回しているスタッフくらいだった。ビルの外で待つのも夜風が冷たいので、一階のロビーで待とうかと足を踏み入れたその時、なにやら不審な男がいることに気が付いた。ロビーの陰でこそこそと入り口の方から誰かが来ないかをときおり盗み見るように確認をしている。

 園城は「ははあ」と思った。それは恐らく『フェアリーズ・ガーデン』参加メイドのファンで、いわゆる『出待ち』という行為をしているのだ。つまり仕事帰りのメイドさんに一目会おうとしているのである。だが、その行為はメイドカフェでは御法度だ。仕事を上がったメイドは、もうそこからプライベートの時間帯へと突入している。その時点でその女性は『メイド』ではないのである。それなのに、その女性と会うという行為はプライバシーの侵害であり、ストーカー行為と取られてもおかしくはない。だからメイドカフェでの『出待ち』は徹底的に禁じられているのである。

 普通、こういうのはスタッフが注意するもんだけどなあ。

 園城はやれやれと肩を回した。そしておもむろにその人物に近づいていく。『出待ち』をしたくなるほどメイドさんと一緒に居たくなる気持ちは分かる。だが、『ご主人様は紳士たれ』だ。わきまえるところはわきまえないと自分も楽しくないし、メイドさんに嫌われるだけだ。

 園城は男の後ろに近づき、その肩をぽんと叩く。

「おい、あんた」

「うっひゃあああああ!」

 意表を突かれたのか、それとも元々びくびくしていたせいか、男は肩を叩かれて飛び上がった。その様子に園城も思わず声を上げて飛び上がりそうになったが、意志の力でそれは何とか堪える。そして、その男の顔を見て「あ」と口を開く。

「あんたは……」

 その顔には見覚えがあった。『フェアリーズ・ガーデン』開店初日にこの場所でスタッフと口論していた男だ。

 男は園城の顔を見るとあからさまに不機嫌な表情を見せた。そして不意に「あ」とあらぬ方向を向いて呟く。思わずその視線の先を確認しようと園城が首を捻ったその時、男は、思わぬ俊敏さで駆け出した。

「ちょ、ちょっと待てよ!」

 だが男は聞く耳を持たず、すでにその姿を夜の秋榛原の街に消す。唖然とするほどの鮮やかな撤退だった。

「……ったく」

 園城は男が姿を消した街角を眺めながら、ふと思う。

 同じメイドカフェファンとして、彼の気持ちは痛いほど分かる。だけど彼のやっていることは自分たちだけしか楽しくないのである。自分も楽しく、メイドさんも楽しく、そしてスタッフも楽しく、全てが楽しくなるようなメイドカフェの通い方をして欲しい。園城は痛切にそんな風に思うのである。

 と、その時だ。

「おい、キミ」

「うわあああああああああ!」

 何者かに後ろから肩を叩かれて、先ほどの男以上に飛び上がってしまった。いきなりマックスハートに跳ね上がった心臓を押さえながら、園城はあわてて振り返る。

「な、なんなんだよ!」

 そこに居たのは、黒スーツを身に纏った厳めしい顔の中年男性。彼は懐から黒い手帳のようなものを取りだしてそれを縦に開いた。その光景はテレビドラマなんかで何度も見ている。これは警察の認識票。とすると、この人は――

 ――警官だ。

 園城は訳もなく緊張する。

「ここで何をやっているんだ」

 お、俺がか!

 今、ここでメイドさんをストーカーしそうな男を注意しようとしていた俺が職務質問されるのか!

 世の無情に愕然としながらも、園城はなんとか「ゆ、友人を待っているのですが」と言葉を絞り出す。

「友人? 適当なことを言うな。ここのメイドを『出待ち』でもしているんだろ」

「違うっつーの!」

 そもそも園城は目つきが悪いので、善良な一般市民に見えないという特徴がある。実は警官に職務質問を受けたのはこれが初めてではない。しかもそのどれもがなかなか解放してくれないのである。だがここで逃げ出したり、返答を投げやりにしてしまうと、事態は最悪の展開を迎えてしまうということは過去の経験で知っている。園城は気を取り直して丁寧に警官に説明することにした。

「……ええと。この二階で行われている『ベスト・オブ・メイドコンテスト』に俺のクラスメイトが出場しているんです。五味浄美っていうんですが、調べてくれれば分かります」

 これで疑われる余地もないだろうと、ほっと安堵の息を漏らすのもつかの間、警官は一層の疑わしげな視線を園城に向けてくる。

「ご、五味浄美。ほう、貴様、その娘と知り合いか? ……ほう?」

 警官はそう言って、園城の返事も待たずに表の路上に止めてあるパトカーに連れて行こうとする。

「ちょ、ちょっと待って! 意味分からねぇよおおおおおおお!」

 さすがにその警官の融通の効かなさというか、頑固さに閉口した。そもそもここから動いてしまったら五味と会うことが出来ない。そのことを説明しようと口を開き掛けた、その時。

「あれぇ? さとりん、こんなところでどうしたのぉ?」

「コロンさん!」

 救世主が現れた。五味本人ではないが、自分の身分を証明してくれる人間が登場したのだ。

「コロンさん! この頭の固い警官に説明してやって下さい! 俺は人畜無害の普通の高校生だということを!」

 園城のその助けを求める表情を目の当たりにしても、コロンは相変わらず「ほえ?」とのほほんとした笑顔を浮かべたままだった。そして園城と警官との間を何度も視線を往復させて、その挙げ句こう言い放った。

「ありゃ、さとりん。ついにメイドストーカーで捕まったのぉ? きゃはははは」

「ちょっと待てええええええええええええええい!」


****************************************


「ごめんねぇー、さとりん。つい日頃から思っていることが口に出ちゃったぁ」

「それ、ちっとも謝罪になっていないんですけど」

 園城とコロン、そして少し遅れて現れた五味は大通り沿いのラーメン屋で麺を啜っていた。ここは博多ラーメンがウリの店で、とんこつ系が好きな園城のお気に入りの店だった。

 コロンの失言で、園城に対して一層の警戒を強めた警官だったが、五味が「あ、園城」と現れたところで、急にそそくさと退散してしまったのだ。奇妙な警官だった。よっぽど、あの警官の方が怪しい。

「でもさあ、ずるずる、さとりんさあ、ずるずる、今日はおまわりさんがいっぱいいた、ずるずる、理由がずるずるあったんだずるずるよずるるのる」

「喋るか食べるかどっちかにして下さい。何を言っているのかさっぱり分かりません」

「あはは。ごめーん。今日、さとりんを捕まえていたおまわりさんの他にもあのビルの回りにはおまわりさんがいっぱいいたんだよぉ。知っていたぁ?」

「え? そうなんですか?」

 園城は記憶の底をさらった。だが、路上にパトカーが止まっていたことと、自分に職務質問をしてきたあのムカつく警官の顔しか思い出せない。

「気がつかなかった。でもそれだけ警官がたくさんいたってことは、何かあったんですか?」

「あ、替え玉、もう一つ!」

「話を訊いてくれー!」

「スープにニンニクを入れたいところだけどぉ、明日も仕事がある身としては、我慢ですぅ」

「……もう嫌」

 がっくりとラーメンどんぶりの中に顔を付けんばかりに俯く園城。そんな光景に苦笑していた五味はコロンの代わりに説明をする。

「実はな、園城。今日こんなことがあったんだ」

 怪訝な視線を向ける園城に対して、五味は声を潜めて言った。

「店に――『フェアリーズ・ガーデン』に脅迫状が送られてきたらしいんだ」


*********************************************************


 十一日目の成績 得票数 トップ麗子『二二八』、二位クララ、三位いおり、四位アキ、五位コロン。(参考:九位ごっちん『一』) 


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