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出かけましょう

次の日から、またあの黒い塊との訓練が始まった。


ユリアは目を閉じている。


「いいかい。心の目で見るというのは、見るのではないんだよ?感じるんだ。この塊がどこにいるのか感じながら探してごらん?」


心で感じる…。

どうしたら感じる事が出来るのかな?


ユリアはなかなか感じる事が出来ない。


次の日もその次の日も、なかなかユリアは上手く出来なかった。



その日の訓練を終えて、部屋で考えることユリア。


「どうしたらいいんだろう……」


ユリアには答えが分からなかった。


このまま出来なかったら、白の魔法使いになれないのかな…。


そんな不安さえよぎって来た。


ボーッと考えていると、窓の下から呼んでいる声がした。


「ユリアさん、ユリアさん。」


「??」


下を見てみるとトーマスが小さな声でユリアを呼んでいた。


「トーマス様?」


「ユリアさん。ちょっと降りて来ませんか?」


トーマスはユリアに手招きした。

ユリアが外に出るとトーマスが馬小屋から馬を連れて来た。


「少し出かけましょう。」


「え?今からですか?」


「ええ。気分転換に。」


そう言うと、トーマスは馬に飛び乗る。

そして、馬上から手を差し出した。


「はい。手を掴んで。」


ユリアは馬に乗った事がない。

少し躊躇しているとトーマスに手を掴まれた。


「大丈夫です。僕がいますから。僕を信じて。」


ユリアは少し怖かったが思い切ってトーマスの手を掴んだ。

トーマスは軽々と引き上げ、自分の前にユリアを乗せた。


「ユリアさん、大丈夫ですか?怖くないですか?」


「は、はい。大丈夫です。」


しかし、ユリアはかなり緊張していた。

馬に乗った事というより、今の自分の体勢に緊張していた。


この体勢…かなり密着してる…。


ユリアはドキドキしていた。 

しかし、ユリアが密着しているトーマスからもドキドキが聞こえた。


一緒なんだ……。


ユリアはクスッと笑った。


2人は農園の端にある、花畑にまでやって来た。

山の斜面を利用しているので、さっきいた家が下の方に小さく見える。


「寒くないですか?僕のマントですが…羽織っててください。」


「ありがとうございます。」


見ると、トーマスもちょっと寒そうだった。

ユリアはちょっとずつトーマスに近付いて座り

マントをトーマスにもかけた。


「トーマス様も一緒に。」


トーマスはびっくりしてユリアを見る。

ユリアはニッコリ微笑んでいた。


「ずるいな……。ユリアさんは。」


「え?」


トーマスは言い終えたと同時にユリアを後ろから抱きしめた。


「ひゃっ!」


びっくりした反動で変な声が出てしまったユリアは頬をぷっと膨らませてトーマスを見る。


「ずるいのはトーマス様も一緒です!」


「そうかな……。ははははは。」



トーマスは抱きしめる腕にちょっとだけ力を入れた。




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