頼らない為に
お互いのあたたかさを感じながら過ごす2人。
ユリアがボソッと呟いた。
「なんだか、上手く行かないんです。」
「訓練がですか?」
「はい。心の目ってどうしたら見えるんでしょうか…」
「心の目?」
「そう、心の目。穢れを癒す為には心の目で見ないといけないんです…でも、出来なくて。」
「心の目か……。」
トーマスは何やら考えている。
「僕が初めて騎士団の一員として戦いに出た時の話なんですけどね。」
「戦いに?」
「そう。敵に囲まれてしまって。その時、実は額を怪我しましてね…流血が目に入って前がほとんど見えない状態だったんですよ。」
「え?流血?」
「でも、戦わないとこっちがやられてしまう。」
「そうですね。」
「上手く言えませんが、もともと見えると思っていると頼ってしまう。それが見えなくなると頼れないでしょう?あの時は必死だったので、とにかく気配で戦うしかなかった…。」
「……」
「すみません……上手いこと言えなくて…」
「いえ!トーマス様、ありがとうございます。明日、ちょっとやってみます。それ、試してみます!」
「え!流血を!?」
「違いますよ…。流血は流石に。」
「そうですよね。ははははは。」
「ふふふふ。」
次の日、ユリアは訓練に大量のレモンを持って行った。
「ユリアちゃん、それは?」
「レモンです!」
「うん、それは分かるけど……何に使うんだい?」
「あ、はい!昨日ちょっと思いついた方がありまして…心の目をマスターする為にこれを使ってみたいと思います!」
「心の目の為に使うのかい?」
「はい!」
ユリアは持ってきた小型ナイフでレモンを半分に切る。
「ユリアちゃん……何だか嫌な予感がするんだけどもねぇ。」
ユリアは半分に切ったレモンを両手に持つ。
「大丈夫です!では、行きます!」
その瞬間、ユリアは自分の目にレモンの切り口を押し当てた。
「あ!やっぱり!ユリアちゃん!」
「……大丈夫…で…す…いや…あ!あっー!痛いー!」
ユリアはレモンを放り出し、手を両眼に当てた。
「痛いー!あー!涙がー!あー!」
ユリアは助けようとするコートに大丈夫だと手を振る。
そして、少し落ち着いた前を見たユリアはの目は
真っ赤に充血し、涙でぐちゃぐちゃだった。
「よし!大成功!」
ユリアは涙を流しながらガッツポーズした。




