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薬草農園の真ん中で

ファッジとエミネールは3人を家に招き入れる。


「ここはね、私達が色々な薬草や野菜を育ててる農園なのよ。」


ファッジとエミネールはとても嬉しそうに話す。


「ここにはね、普段は誰も来ないから嬉しいのよ!しかも、ユリアちゃんとその彼が来てくれるなんて!」


トーマスは荷物を運びながら照れている。


「あの…コートおばあちゃん。今回の訓練にはお2人も先生をしてくださるんですか?」


「ああ、そうだよ。」


コートは頷いた。


「コート様!訓練は明日からでしょ?今日はみんなで美味しい物作って食べましょうよ!」


「そうだね。明日から大変になるから、今日はゆっくりしよう。」




魔法で護られた農園には様々な薬草や野菜が育てられている。

中には、珍しい結界魔法で作られた温室のようなものもある。

その薬草などを使って、ファッジとエミネールが栽培方法を研究したり珍しい薬を作ったりしているのだ。


畑の真ん中には住まいがある。

ユリアが与えられた部屋は、2階の日当たりの良い部屋だった。

シンプルだが、可愛い柄の壁紙が貼ってある。

ちなみにこれは、エミネールの趣味のようだ。  


「ユリアちゃん。ちょっと降りて来てくれる?」


ファッジが階段の下からユリアに声をかける。

ユリアが下に降りていくと、ファッジが籠をユリアに渡した。


「申し訳ないけど、ちょっと野菜を取ってきて欲しいのよ。トマトとナスを5本ずつ獲って来てくれる?」


「わかりました!野菜はどこの畑に?」


「今日入ってきた道を戻るとあるわ。すぐわかると思う。お願いね!」


「はーい。行ってきます。」


ここは山の山頂近くにあるはずなのに、結界魔法によって冬とは思えない気温だった。

今日は天気もいいので日差しが気持ち良かった。


外に出ると、馬の世話をしていたトーマスが居た。


「ユリアさん、どこに行くんですか?」


「あっ、ちょっと野菜を取りにそこまで行って来ます。」


「それじゃあ、僕もお供します。」


2人で畑へ歩いていく。

道の脇には様々な薬草や花が咲いていた。


「本当に不思議な場所ですね。真冬なのに、上着もいらないし。」


「結界魔法のお陰らしいですよ。」


「結界には色んな種類があるんですね。ユリアさんの家の結界魔法は悪意がある人を識別するんでしょう?」


「種類というより1つの結界魔法に色んな作用を付け加えると言った方がいいかも。ここは、珍しい薬草や野菜があるので寒さを弾く作用が付け加えられているそうです。」


トーマスはなるほどと頷いた。


ユリアは、真っ赤になっている美味しそうなトマトをもいでいく。

籠いっぱいに入った、トマトとナスをトーマスが持ち2人はファッジの元へと戻った。


戻る途中、トーマスはユリアに言った。


「昨日、村の食堂で言った事ですが…。」


「食堂で?あ!あのご両親に紹介するというのですか?」


「ええ、そうです。」


「いいんですよ。冗談って分かっていますから。もう気にしないでください。」


するとトーマスは立ち止まった。


「あ、あの。あれは本気で考えている事です。本当に色々な事が片付いたら、ユリアさんを実家に連れて行きたいと思っています。」


「え……」


「あんな形で言ってしまって後悔してます。でも、ユリアさんの訓練が終わったら一緒に行ってくださいませんか?その時に、正式にプロポーズします。」


「…………」


「ユリアさん?」


トーマスは何も言わないユリアが心配になり、顔を覗き込む。

見るとユリアは泣いていた。


「ユ、ユリアさん!どうしよう!泣かないでください。」


トーマスはユリアを抱きしめた。

ユリアは大きく深呼吸をしてトーマスを見る。


「トーマス様……」


「はい。」


トーマスは少し緊張した顔だった。


「トーマス様…私…嬉しいです。プロポーズ待ってます。」


そう言ってユリアはまた大粒の涙を流した。


トーマスはまたユリアを抱きしめて

ユリアの髪の毛に顔を埋める。


「はぁー!よかった!緊張しました。」


ユリアはトーマスの胸に顔を埋めて、農園の真ん中で幸せを噛みしめたのだった。


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