ファッジとエミネール
ホットサンドの後、紅茶まで飲んだ3人は
また山道を登り始めた。
あたたかい物を食べてお腹いっぱいになり、うとうとして来たユリア。
コートは先程から既に居眠りをしている。
ユリアも睡魔と戦ったがあっけなく負けてしまった。
それからしばらくして馬車が止まる。
そこでユリアとコートは目を覚ました。
トーマスが馬車の中のコートに話しかけた。
「マグゴナル様。この道はどちらに行けばよいですか?」
見ると先の道が2つに分かれていた。
どちらも雪が積もっていて森に続いていてそっくりな道だ。
「どれどれ。」
コートは馬車を降りて、道を確認した。
「うーん、右だね。」
コートは右の道を指差した。
ユリアも後から馬車を降り道を見る。
「どっちもそっくりな道……」
「そうだよ、これは魔法だからね。」
「魔法?」
「そう!これは不審者の目を晦ます防衛魔法さ。」
「そうなんですか。」
トーマスが頷く。
「そうだ、忘れてた。」
そう言ってコートはポケットからネックレスを取り出す。
「この先は特別な結界が張られている所だから。このネックレスを常につけておきなさい。これがないと結界から弾き出されるからね。」
そう言って、ユリアとトーマスの首にネックレスをかける。
ネックレスには小さな水晶のような物が付いていた。
「コートおばあちゃんはいいの?」
「ん?私かい?私は大丈夫。だってその結界は私が作ったものだからね。」
コートはニッコリ微笑む。
「さぁ!ここまで来たらもうすぐだよ!急ごう!」
それから森の中を更に奥に進む馬車。
すると辺りが明るくなって来た。
その変化に気づいてユリアが馬車の窓から外を見る。
「着いたみたいだね。」
その言葉と同時に馬車が止まる。
そして、賑やかな声が聞こえて来た。
「いらっしゃーい!」
「ユリアちゃん!よく来たね!」
建物から出て来たのは、魔法カフェに年1回だけ来てくれるファッジとエミネールだった。
「え?ファッジさん?エミネールさん?」
歩きながら手を振っている2人がユリアに駆け寄る。
「よく来たねぇ!ユリアちゃん!待ってたのよ!」
エミネールがユリアを抱きしめる。
ファッジはユリアをその上から2人ごと抱きしめた。
「ほらほら、2人ともそれくらいにしておやり。」
コートが馬車から降りてくる。
「ファッジ!エミネール!いい加減にしないか!」
コートが2人をユリアから引き剥がす。
ブーブー言いながらユリアから離れた2人は
今度は荷物を下ろしているトーマスを見つける。
「あの方は?王宮騎士団の制服だけと。」
「ああ、あの方はねエバンが付けてくれた護衛だ。」
「あら!エバンちゃんが!エバンちゃん元気なの?」
ファッジは手を叩いて喜んだ。
「ちゃんなんて歳じゃないよ。もうおじさんなんだから。」
「懐かしいわぁ。私達が辞めた頃、まだ新人さんだったもんねー。」
「そうなんですか?エバン様は今は総長なんです。」
「そうなの!出世したわね!それであの護衛を付けてくれたのね!ありがたいわ!」
「あと、ついでに言うとあの護衛の騎士はユリアちゃんの恋人だ。」
「「えー!!」」
ファッジとエミネールは驚いてしばらく口が開いていた。




