村の宿屋
王都を出発した3人は山の麓の村に到着した。
「あと、半日くらいで到着だよ。明日朝早く出発しよう。」
コートは宿屋の扉を押しながら言う。
この村はとても小さい村で宿屋が1軒しかない。
宿屋に入ると店主がカウンターで向かえてくれた。
「やや!これは!マグゴナル様!」
「久しぶりだねぇ。元気だったかい?」
「はい!おかげさまで。今日はお泊まりで?」
「ああ、そうなんだ。2部屋頼みたい。」
すると店主は申し訳なさそうに目尻を下げた。
「マグゴナル様、申し訳ありません。今日はあいにく1部屋しかないんです。泊まりはお2人で?」
「いや、3人なんだ。外に騎士様がいる。」
「いやぁ、どうしようかな…。」
「まぁ、いいさ。その1部屋にするよ。」
「いいんですか?」
「ああ、仕方ないさ。まぁ、明日は朝早く出発するからそれでいい。」
「すみません。では、ご案内します。」
ユリアは先にコートに部屋に行ってもらい、自分は外にいるトーマスの所に行った。
「トーマス様、お部屋取れました。でも1部屋しか残っていなくて…。」
「そうなんですか。」
トーマスは宿屋の馬小屋に馬車に止めて、馬に水をやっている。
「とりあえず、荷物をお持ちしますから。ユリアさんはこの大きな鞄でいいですか?」
「あ、はい!すみません。」
「大丈夫です。部屋で待っていてください。すぐ行きます。」
ユリアが部屋に入ると、そこはリビングと寝室の2部屋連なっていた。
「おお、ユリアかい?」
コートが寝室の方から出てきた。
「意外と広い部屋だね。ここなら3人居られるだろう。」
たしかに、寝室も独立しているのでトーマスが居ても大丈夫そうだ。
「失礼します。トーマスです。」
トーマスが荷物を持ってやって来た。
「あ、トーマス様。荷物ありがとうございます。」
「いえ、マグゴナル様はこちらの鞄でしたね。それからユリアさんはこっち。」
トーマスはあの重い鞄を軽々片手で持ち上げた。
「すみません。重いですよね?」
「ははは。大丈夫です。でも、こんなに何を入れて来たんですか?」
「あ、えーと。途中で食べるお菓子とか…干し肉とか…です。」
コートは大笑いした。
「なんだい!ユリアちゃん!そんな物持って来たのかい!」
「だ、だって…山に行ったら食料があるか分からなかったし…」
ユリアは照れて赤くなっている。
「大丈夫だよ。山には食料は沢山あるから。それにこれから行く所は人が住んでいるから安心しなさい。」
コートはそう言いながら、自分の荷物を寝室に運んでいた。
そして、トーマスに向かって言った。
「トーマスさんは、悪いけどこのリビングのソファで寝てくれるかね?寝室にはベッドが2つしかないんだ。」
「いえ!わたしは馬車の所で大丈夫です!」
コートは首を横に振る。
「ダメだよ。私達を守る護衛が側にいないなんて。リビングで寝ておくれ。」
「トーマス様はずっと馬車の外にいたんですから。お疲れでしょう?部屋で寝てください。」
「は、はい…。では、お言葉に甘えてこちらで寝かせていただきます。」
コートはさて!と手を叩いて
「少し休んだら、外に食事に出かけよう。2人ともお腹すいただろう?」
ユリアは途中、馬車の中でパンを食べたきりだったのを思い出した。
それにトーマスは何も食べていないはず。
「トーマス様もお腹すきましたよね?」
「あ、いえ、僕は……」
と言った瞬間、トーマスのお腹が鳴って
ユリアは吹き出してしまった。




