エバンの命令
トーマスはエバン総長の執務室にいた。
「ユリアちゃんが山に修行に?」
「はい。そのように聞いております。」
エバンは何やら考えている。
「2人でそこまで向かうと言う事だな?まぁ、マグゴナル様は物凄い力のある方だから心配はないが…とは言え女性2人だけで向かうとは。」
「はい、わたくしもそこが気がかりです。」
エバンは机の引き出しから分厚いノートを出す。
「トーマス、お前の今後1週間の予定は?」
「は?わたくしのですか?えーと、来月行われる合同訓練の練習と個人指導を数人です。」
「そうか、個別の護衛などはないな?」
「はい!ございません。」
「そうか……なら、お前行って来い。」
「えっ?」
「だから、マグゴナル様とユリアちゃんの護衛に行って来い。」
「えっ!行っても……いいのですか?」
「そうじゃない。これは騎士団としての命令だ!仕事だ!仕事!白の魔法使いという大切なお方と元王宮筆頭魔法使いであるお方の護衛だ!いいな!」
「は、はい!ありがとうございます…じゃなかった…ご命令遂行してまいります!」
トーマスはバシッと敬礼をし、部屋を後にした。
そして、そのままコートの仕立て屋まで馬を走らせ
明日からの旅に護衛として随行する事を伝えた。
コートはびっくりしていたが、エバンが命令したと聞いて大笑いして言った。
「エバンもなかなかやるじゃないか。」
コートはとても満足気だった。
次の日、ユリアは大きな荷物を抱えながら
コートの仕立て屋まで歩いていた。
「ううっ。重い……。」
そう言えば、山まで何で行くのかしら?
やだ!聞いてなかった!
歩いて行くんだったらどうしよう…
ユリアは今更、大きな荷物を後悔していた。
コートの仕立て屋に着いたユリアは
コートに早速聞いてみた。
「訓練場所までどうやって行くんですか?」
「ああ、今回は馬車だ。」
よかったぁ……。
と胸を撫で下ろす。
馬車を待つ間、コートの荷物を外に運ぶユリア。
見てみるとほとんどが食材やお菓子などだ。
「これ、向こうで食べる物ですか?」
「いや、これはお土産だ。あっちで待ってる人がいるもんでね。」
「他にも先生が?」
「まぁ、そんな所だ。」
カートがそこまで行った時、向こうから馬車がやってきた。
「マグゴナル様、ユリアさん、お待たせしました。」
馬車から降りてきたのは、なんとトーマスだった。
「トーマス様!」
「遅くなって申し訳ありません。」
「いや、そうではなくて。どうしてトーマス様が?見送りにきてくださった…とか?」
「いえ。エバン総長からお2人の護衛を言いつかりました。これから1週間、よろしくお願いします。」
「ご、ご、護衛ですか?」
「はい。」
トーマスは満面の笑みだった。
「まぁ、いいじゃないか!旅は人数が多い方がいいからね!さぁ、行くよ!」
コートは真っ先に馬車に乗り込む。
トーマスはコートとユリアの荷物を荷台に乗せて行く。
「ユリアさんは先に乗っていてください。僕がやりますから。」
トーマスはひょいひょいと荷物を運んで行った。
そして、トーマスは馬車の従者の席に座る。
「トーマス様が走らせてくださるんですか?」
「はい。僕は今回は護衛ですから!」
ユリアは何とも申し訳ない気持ちになる。
「ほら、ユリアちゃん座って座って!さぁ、出発だよ!」
こうして、ユリアとトーマスとコートの白の魔法使いへの最後の旅が始まった。




