ミュゼットからの差し入れ
今、ユリアの目の前には沢山お菓子やパンが並んでいる。
ケーキ、クッキー、キャンディ、チョコレート、パン………。
そして、その中に手紙が入っていた。
〜ユリアさんへ
魔法のお勉強の具合はいかがですか?
毎日お疲れと思いますので、甘いものをお届けします。
頑張ってくださいね。
ミュゼットより
ユリアは目の前のお菓子たちをもう一度見た。
「ミュゼットさんって意外と男前な感じ?」
とは言え、ミュゼットからの心のこもった差し入れ。
明日、コートの所にも持っていく事にした。
今日の夕飯は、ミュゼットからの差し入れのパンと簡単に作った野菜スープ。
夕飯を食べながらユリアは今日の訓練の事を思い出した。
「治癒魔法が上手く使えるようになったら、トーマス様が怪我をしても治せるなぁ。」
トーマスは剣の練習などで小さな傷をつけている事もあった。
最初の頃はそれを見るたび驚いたが、トーマスに至っては「こんなの傷のうちに入らない」と言ってそのままにしていた。
「よし!トーマス様の為にも治癒魔法をマスターしなきゃ!」
ユリアは俄然やる気が出てきた。
次の日、コートとの訓練場では昨日に引き続き治癒魔法の特訓中。
「だいぶ良くなったね。いい感じだ。」
コートはの魔法力が安定してきたのを見て頷く。
「これなら、連れて行っても大丈夫そうだね。」
「え?どこにですか?」
「明日は王宮に行くからね。ちゃんとした格好しておいでね。」
ユリアは何故王宮に行くのか教えてもらえないまま、次の日コートと王宮に来ていた。
コートは王宮には入らず、庭園を横切って行く。
「セレニウム様に会うんじゃなかったんですか?」
「いいや、違うよ。あの子に会ったら何かと面倒だからね。」
コートはそのまま歩いて行く。
王宮の庭園を抜けた先に更に門があり、そのうち大きな建物が見えてきた。
「ここは?」
「ここかい?騎士団の訓練場さ。」
「騎士団の?えー!」
ユリアは騎士団の訓練場の大きさに驚く。
大きな建物が3つ。
真ん中が訓練場、左右が宿舎の建物らしい。
ボーッとその大きさに驚いていると、門から見慣れた人が歩いてきたハンターだ。
「マグゴナル様、ユリアさん、ようこそ!お待ちしておりました!」
「今日はよろしく頼むよ。」
「ハンターさんお久しぶりです。」
ハンターは2人にお辞儀をすると、中に案内してくれた。
「まずは、騎士団総長の所にご案内します。」
そう言って通されたのは、騎士団の訓練場の最上階にある部屋だった。
中に入るとシックな家具が並んでいて、壁には地図が沢山かけられていた。
そして、部屋の1番奥に座っている男性がこちらに近づいて来る。
物凄く威厳のある雰囲気を漂わせている男性。
その男性がコートの前で礼をする。
「マグゴナル様。お久しぶりでございます。」
「エバン殿。久しぶりだね。」
コートが声をかけた瞬間、その男性の雰囲気が一変した。
「やだなぁ!エバン殿だなんて!エバンでいいですよ!もーう!」
え?何これ。すごく仲良し?
ユリアはカクっとズッコケそうになった。
そんな驚くユリアを見てエバンが言った。
「おっ?こちらのお嬢さんが噂のトーマスの女神か!」
「え!女神!!??」
「はははは。申し遅れた、私はエバン・コスタームだ。騎士団の総長をしている。」
「わ、わわ、私の方こそ申し訳ありません。ユリア・エスタークと申します。」
「そうか!ユリアちゃんか!いやぁ、可愛らしい!これはあの堅物のトーマスが恋するのも分かるな!」
「あ、あ、あの。先ほどの女神というのは……」
ユリアは恐る恐る聞いた。
「この騎士団では、ユリアちゃんの事を女神と呼んでいるんだよ!あの堅物で女っ気のないトーマスの恋人だしな!それに、部下達は君に感謝してるんだよ。」
「感謝ですか?」
「ああ、トーマスは今まで仕事一辺倒だったからな。それが、ユリアちゃんとの時間を作っているおかげで部下達は安心して休めてる。だから、君に敬意を表して女神と呼んでいるそうだ。あはははははは!」
「はは、ははは。そ、そうですか。」
ユリアは何とも言えない恥ずかしさで照れ笑いした。




