私、魔法が使えます
トーマスはユリアを2階のリビングのソファに座らせると、自らも横に座った。
「ユリアさん、疲れていませんか?」
「はい。大丈夫です。」
良かったと微笑んだトーマス。
トーマスはユリアを手をそっと握り自分の膝の上に置いた。
「ユリアさん、帰って来てこんな話をするのは気が引けるのですが……」
「犯人の事でしょうか?」
トーマスは頷いた。
「実は、犯人についてはある程度目星が付いています。」
「そうなんですか!」
「はい。しかし、その男の行方がまだ掴めていないんです。」
「私を斬った男ですか?」
「はい。」
「あの…そういえば…その人、他の男達にタイラーと呼ばれていました。」
「なるほど、タイラー……。」
「言うのが遅くてごめんなさい。今思い出して。」
「いえ!貴重な情報ありがとうございます。今、他の証拠なども集めております。あの小屋にいた男達は牢屋に捕らえていますので、もう今頃は自白したかもしれません。」
ユリアは黙って聞いていた。
「証拠が揃って、そのタイラーという男の居場所がわ分かり次第動きます。ですから、それまでは僕がいない時にはあまり外を出歩かないように。」
「わかりました。……あ!あの……。」
「どうしましたか?」
「実は……私……魔法が使えます。」
「ええ、知ってますよ。だって魔法カフェですからね。」
「あ、いや。だから、その……私、実は結界魔法…が使えます。」
「え?結界魔法?そうなんですか?」
「はい……黙っていてすみません。拐われたあの日は昼間でカフェも営業中だったので…魔法は解除したままだったんです。」
「そうでしたか。ならば、僕がいない時はその結界魔法を必ずかけてください!」
「はい。わかりました。」
トーマスはユリアの手をギュッと握り頷いた。
「また、夜に来ますので。」
「はい、わかりました。」
「結界魔法がかかっていても僕は店に入れますか?」
「あ、それなら大丈夫です。トーマス様は入れるようにしておきますので。着いたら下から声をかけてください。」
「そんな事ができるのですか。便利ですね!では!また夜に!お願いですからあまり無理しないでくださいね!」
「ふふふ。わかりました。」
全ての結界魔法がその人を感知できるのではないのだけど…。
またこの話は今度ゆっくりしなきゃ。
白の魔法使いの件もあるしね……。
ちょっと後ろめたい気持ちだったが、ユリアは小さくトーマスに手を振った。




