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魔法カフェにご帰還

ユリアが目を覚ましてから1週間。


その間、ブレンダー家の屋敷で療養していたユリアは今日我が家に帰る。


「本当にお世話になりました。」


ユリアは深々と頭を下げる。


「ユリアさん!お元気になられて本当によかったですわ!」


ミュゼットはユリアの手を握りブンブンと振った。


「ミュゼット、あまりユリアさんの手を振り回すな。」


トーマスがユリアの手を取り返し、そのまま自分が握った。


「まぁ!トーマス様ったら、自分が手を握りたかっただけではないのですか?」


「うるさい。」


トーマスはそっぽを向いてしまった。

しかし、しっかりと手は握ったままだ。


この1週間、トーマスは毎日屋敷を訪れユリアとの時間を沢山作った。 

トーマスは料理の本を持って来ては、「元気になったらこれを作って欲しい」と言っていた。

2人の距離はこの1週間でグッと縮まり

最近ではこうして手を握るくらいまでは照れずにしてくれる。


「ミュゼットさん、プリアンヌさん、本当にありがとうございました。お2人のお陰でゆっくり療養する事が出来ました。」


この屋敷にいる間、ミュゼットとプリアンヌは甲斐甲斐しくユリアの世話をしてくれた。

屋敷の使用人が半ば驚くほど、よく働いたのである。


「ユリアさんがお元気になられる為なら苦ではありませんわ。」


プリアンヌが微笑む。


「さて、そろそろ行こうか。」


トーマスがユリアをエスコートして馬車に乗る。


「では!行きますね!プリアンヌさんが領地にお帰りになる前にまたお店に来てくださいね。」


「分かりましたわ!必ず伺いますわ!」


2人は馬車が見えなくなるまで手を振った。




カフェに到着すると、店の前にはご近所さんが集まっていた。


「ユリアちゃん!」


「ユリアちゃん、大丈夫かい?」


「心配したんだよ!」


ご近所さんはみんな口々に声をかけてくれる。


「みなさん、ご心配をおかけしました。しばらくカフェはお休みしますけど、また体力が戻ったら再開しますので!」


「その方がいいよ!ちょっと!トーマス様!ユリアちゃんの事は私達も守るから安心してくださいな!」


「ああ!そうだよ!トーマス様!夜中は俺達が交代で見張りますから!」


「あ、ああ。みなさん、ありがとう。心強いです。」


トーマスはご近所さん達に頭を下げる。


「そんな!貴族の方が私達なんかに頭を下げないでくださいな!ユリアちゃんは私達には娘も同然なんですか!」


「みなさん、ありがとうございます!私も安心できます。」


ご近所さんたちに挨拶して、店に入る。

店内を見渡すと何となくいつもと違うのに気づく。

店はユリアが拐われた時より綺麗になっていた。


「あれ?なんだか綺麗になってる。」


「実は…騎士団の者たちがユリアさんの為に何かしたいと言ってきて。それで帰ってからすぐ使えるようにとたまに掃除をしていたんです。勝手な事をして申し訳ない。」


「騎士団の方々がお掃除を!そんな……嬉しいです。トーマス様、ありがとうございます。」


「それなら、よかった。」


ユリアはお店のあちこちをチェックして回った。

しかし、トーマスはあまり無理をするといけないとユリアを支えながら2階に連れて行く。


「大丈夫ですよ。階段くらい登れます。」


「ダメです。僕の言う事を聞いてください。」


ユリアの傷は、驚く事に目を覚ました日からみるみる回復して来ている。


ユリアはそれが白の力なのかもしれないとどこかで思った。


あれは夢なんかじゃない。

きっと、魔法の力なんだ。

お母さんは私に力をあげると言っていた。

その後出てきた女神様もお母さんからのお願いが…と言っていたし。


この傷の回復力は普通じゃないもの……。


ユリアはそっと、手で太ももの傷を触った。



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