突然の訪問
その日、ユリアが家の荷造りをしていると
外に馬車が止まる音がした。
「ん?なんだろう。」
ユリアはその音に気づいて、窓から外を見る。
そこには馬車から降りるトーマスの母、アンジェラが居た。
ユリアは驚いて、大急ぎで下に降りて行きアンジェラを迎えた。
「お母様!どうなさったんですか!」
「ユリアちゃん、いきなり来てごめんなさいね。荷造りしていたの?」
「は、はい。」
ふと、自分の格好を見て仕事着の上にエプロンという格好だったのに気づき慌てるユリア。
「す、すみません!こんな格好で!」
「いいのよ!いきなり来たんだもの。ちょっとこれから付き合ってもらいたい所があるの。今からいいかしら?」
「は、はい!もちろんです。少しお待ち下さい。急いで支度して来ますので。」
大急ぎで支度をして、外に出るユリア。
すると、アンジェラが近所のおばさん達と楽しそうに話している。
「そうなんですのよ!ほほほほほ!」
近所のおばさん達も笑っている。
「あ、あの!お母様!お待たせしました。」
「ユリアちゃん。早かったわね。今ね、こちらのご婦人方とユリアちゃんのお話をしていたのよ!」
「あらやだわぁ。ご婦人なんて!私らみたいな庶民にそんな…」
近所のおばさんも満更でない様子で喜んでいた。
「ユリアちゃんは、私達も自分の娘の様に思っていたんですよ。ですから、嫁いだ後もよろしくお願いします。」
近所のおばさん達は深々と頭を下げた。
「もちろんですわ!ユリアちゃんは我が家にとっても大切な娘さんですもの!またお話いたしましょうね!」
アンジェラはおばさん達に手を振りながら馬車に乗った。
「みなさんいい方ばかりね!ユリアちゃんがみんなに愛されていたのが分かったわ。」
「みなさん、私が子供の頃から知っている方ばかりですので。」
「また来たいわぁ!みなさん面白い方なんですもの。」
アンジェラは手を叩いて喜んでいた。
「あ、あの…それはそうとお母様。今日はこれからどこに?」
「あ!そうよね!実はユリアちゃんとお買い物に行きたかったのよ!」
「お買い物ですか?」
「ええ!娘がいたら一緒にお買い物をしたいと思っててね?長男のお嫁さんとはあまり出かけられなかったから…」
トーマスの兄嫁は、身体が弱くなかなか外出できなかったとトーマスから聞いていたユリア。
アンジェラが自分を娘と思ってくれている事も嬉しかったユリアは言った。
「お母様、今日は何でもお付き合いします!」
「まぁ!嬉しい!じゃあ、まずは…お洋服ね!」
アンジェラは従者に行き先を指示すると、馬車は動き出した。
これから始まるアンジェラの嵐の様な買い物を、ユリアはまだ知らなかった。




