おばあちゃんと孫
ユリアは久しぶりにコートのアトリエに来ていた。
コートは嬉しそうにユリアの身体を採寸していた。
「ユリアちゃんのウェディングドレスが作れるなんて、夢のようだねぇ。」
ユリアは少し照れながら言った。
「私もコートおばあちゃんに作ってもらえて嬉しいです。でも、仕立て屋さんはもう辞めてしまうのでしょう?」
「まぁ、私も年だからね。引退後は薬草農園の方を手伝う事にしたよ。ファッジもエミネールもいるからね、3人で喧嘩しながらやるさ。」
「王都から離れてしまうのは寂しいです。」
「何言ってるんだい。私たちは魔法使いだよ?いつだってひとっ飛びで来れるんだから。」
「でも、それは緊急の時だけでしょ?」
「まぁ、そうだけど…たまにはいいんじゃないかい?ユリアちゃんが呼んでくれたらすぐに来るよ。」
ユリアの採寸を終えて、今度は沢山の生地を広げるコート。
「ユリアちゃんはどれがいい?好きなの選びなさい。」
目の前にある生地をじっと見つめるユリア。
しばらく考えたがなかなか決められず、悩んでいる。
「コートおばあちゃんが選んでください…私には全部素敵で選べない…。」
「はははははは。そいかい、じゃあ私がユリアちゃんの為にとっておきのを選んで作るよ。」
「すみません。何だか私、あまりお洋服とかよくわからなくて。」
「ユリアちゃんは今までカフェの仕事ばかりだったからね、仕方ないさ。でも、結婚したらそういう訳にもいかないんだから。少しずつ知るといいよ。」
「はい。」
コートはユリアの身体に生地を当てて、選んで行く。
「よし!あとは、私が色々飾りを選んでおくから。お式は1ヶ月後だったね。それまでにしっかり心を込めて作りあげておくよ!」
コートは嬉しそうに話した。
生地をしまいながら、コートはユリアに言った。
「ユリアちゃん、カフェはどうするか決まったのかい?」
「あ、はい。カフェは一旦閉めます。」
「そうかい。まぁ、結婚したらお屋敷に住むんだろう?仕方ないよね。」
「今、ご両親が王都滞在で使っているお屋敷をそのままトーマス様が引き継ぐので、そこに私たちが住む事になりました。」
「そうかい!あのお屋敷に。ユリアちゃんもお屋敷の奥方になるのね。」
「そ、そんな!まだ半人前の奥さんです。」
ユリアは笑いながら言った。
「ユリアちゃん、あんたのお母さんはねユリアちゃんが人並みの幸せん掴んでくれたら嬉しいって言っていたんだよ。」
「お母さんが?」
「そう。だから、ユリアちゃんは幸せになりなさい。トーマスさんとこれからも末永く、幸せでいなさいね。」
「はい。」
「私も、ユリアちゃんの事をずっと見てきたから孫が結婚するみたいで嬉しいよ。」
「ありがとうございます。」
「ユリアちゃん、抱きしめてもいいかい?孫を嫁に出すおばあちゃんとして。」
「はい。もちろん。」
コートはユリアを抱きしめた。
コートは目を閉じてユリアの幸せを願う。
「ありがとう、コートおばあちゃん。」
ユリアとコートはお互いに目に涙を沢山溜めながら、抱きしめ合った。




