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トーマスの家族

「トーマスがこんな可愛い女性と我が家に来るなんて驚いたよ。」


「そうね。女の子には興味も示さなかったのにねぇ。本当に嬉しいわ。」


4人はダイニングに用意された食事を取りながら話していた。


「あまりにも女の子に興味がないから、もしかしたら男性が好きなんじゃないかと思っていたのよ。」


「な、何を言ってるんですか!ユリアさんの前で。」


トーマスは赤くなって怒っている。

そんなトーマスを見てユリアはクスッと笑ってしまった。


「ユリアさんまで。」


すっかりいじけてしまったトーマス。

赤ワインを一気に飲んだ。


「でも、本当に良かったわ。これで、私たちも安心よね。」


「ああ、そうだな。ユリアちゃんの昨日の式典も見たよ!白金の魔法使いだなんて凄い事だ。そんな人がトーマスのお嫁さんになってくれるなんてな。」


「本当よね。トーマス!ユリアさんを泣かせたらわたしが承知しないわよ。」


「当たり前です。そんな事は絶対にありません。」


ユリアは幼い時から母と2人だったので、こうしてワイワイ食卓を囲む事がとても嬉しかった。

その後もトーマスの子供の頃の話や領地の話などをしながら食事をした。



「トーマス、ちょっと書斎に来てもらえるか。見てもらいたい物があるんだ。」


「わかりました。ユリアさん、ちょっと行ってきますね。」


「はい。いってらっしゃいませ。」


「母さん、あまり余計な話はしないでくださいね!」


「分かっていますとも。ほら、早く行きなさい。」


トーマスは名残惜しそうに部屋を出て行った。

アンジェラと2人きりになったユリア。

何か話さなければと思うが何を話していいのか分からず黙ってる紅茶をひと口飲んだ。


するとアンジェラが話し出した。


「トーマスはあんなぶっきらぼうだけど、心は優しいのよ。」


「あ、はい!とっても優しくしてくださります。」


「ふふふ。ユリアさんと出会ってあの子も少しずつ気持ちを出してくれるようになったわ。ありがとうね、ユリアさん。」


「い、いえ。そんな……」


「もうトーマスから聞いているかもしれないけれど、あの子の兄のお嫁さんがね一昨年流行病で亡くなったの。」


「は、はい。お聞きしました。」


「私たち夫婦もね、本当に悲しかったわ。私たちは女の子が欲しかったのだけど、トーマスを産んだ後に私も病にかかってね。もう子供は産めなかったのよ。」


アンジェラはユリアの隣に座って、優しく手を取った。


「だから、ユリアちゃん。貴方がトーマスのお嫁さんになってくれて本当に嬉しいの。これからは私のことを母だと思ってね。」


「はい…ありがとうございます。私も母を亡くしていますので、とても嬉しいです。」


アンジェラはユリアをそっと抱きしめた。


「貴方のお母さんはきっも優しい人だったのね。貴方を見ていれば分かるわ。」


「クリムト家の女性同士、仲良くしましょうね!」


「はい。」


この日、ユリアには新しい家族が増えた。

母を亡くしてから一人で生きてきたユリアにとって、忘れらない夜になった。



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