ミュゼットVSケイト
ユリアの敵が現れました。
意地悪そうなご令嬢登場です!!
目の前にいる自分より少し年上の女の子。
この人がトーマス様の……
トーマス様、意外と大人し目が好きなのね。
「ユリア様とお呼びしても?」
「え?いえ、そんな庶民の私なんかに様付けは!」
「では、ユリアさんでいいかしら?私の事も名前で呼んでくださいね!」
「あ、は、はい。では、ミュゼットさん……」
「わぁ!嬉しい!私、兄ばかりなのでお姉様が出来たみたいで嬉しいですわ!」
ユリアのイメージしていた貴族のお嬢様は、もっといじわる……ではなくて、寄りがたくて……と思っていたが、ミュゼットはそのイメージをガラガラと崩すような女の子だった。
姉が欲しかったとニコニコ話すミュゼットに
ユリアはいつのまにか妹を見るような感覚になって行った。
「それでね!わたくしは、ハンター様という方が好きなのです。今日はハンター様もパレードに出られるから楽しみなんですの!」
ミュゼットは、恋話真っ最中。
初めて会う私にこんな事話していいのかしら?
と心配になる。
「でもね、お父様とお母様には内緒なの。ユリアさん言わないでね?」
「え!ええ、もちろんです。」
いや、貴方のお父様やお母様には会わないですよ。
だって私庶民だもん。
しばらくミュゼットと色んな話をして
お茶を楽しんでいた所にメイドのメリーがやって来た。
「失礼いたします。そろそろお出かけのお時間です。」
「あらっ!もうそんな時間?ユリアさんとの時間が楽しくてあっという間だったわ!」
玄関を出るとそこには馬車が待っていた。
「ユリアさん、さぁ乗りましょう?」
そう言って、ミュゼットはユリアの手を取って
隣に座らせる。
向かい側にはメイドのメリーも座っていた。
「ユリアさんはトーマス様と仲良しなのでしょう?」
ミュゼットの口からトーマスの名前が出て少し緊張したユリア。
「トーマス様って一見強面じゃない?でも、とっても優しい方ですわよね?うふふ。」
「ええ、そうですね。優しい方です。庶民の私の事をいつも気にしてくださいますので。」
「あら!ユリアさん!庶民、庶民っておっしゃるけど、貴族の中には庶民の方とご結婚される方も多くなったのよ!」
「結婚!!!」
ユリアの表情を見て、ミュゼットは続ける。
「そうですのよ?昔は、貴族同士の結婚が絶対!とか言われてましたけどね?最近はそういうのは古いんですのよ!」
「は、はぁ。」
「わたくし、最先端の女性を目指してますの!」
ミュゼットは鼻息を荒くして話す。
それまで黙っていたメイドのメリーが言う。
「お嬢様、ユリア様がお困りになられています。それに子爵令嬢ともあられる方がそんな鼻息を荒くしてはいけません。ハンター様の前でそれが出たらどうするのですか。」
メリーさん、痛いとこついてる。
ユリアは心の中でクスリと笑った。
パレードの場所まで、あっという間に到着した
ミュゼットとユリア。
案内されたのは、パレードがよく見える最前列。
周りには綺麗に着飾った貴族のご令嬢と思われる人が沢山座っていた。
「あら!ミュゼット様?」
その中のひときわド派手な帽子を被ったご令嬢が
ミュゼットに声をかけた。
「げっ!」
ミュゼットは顔を一瞬引きつらせる。
?ん?
今、げっ!って言った?
今、絶対言った。言ったわよね。
しかし、ミュゼットは一瞬にして穏やかな顔に戻りにこやかに答えた。
「まぁ、ケイト様!お久しぶりでございます。こんな所でお会いできるなんて、本当びっくりですわ。」
「ええ、今日はトーマス様の勇姿を一目見ようと最前列を確保しましたの。」
「まぁ、そうなのですか。それはご苦労様です。」
なんだかこの2人、牽制してるみたいだけど
仲悪いのかしら。
この人トーマス様を見に来たって言ってたけど……
なんだろぅ、ちょっと帰りたいかも。
ユリアは2人の間に挟まれて、いたたまれなくなって来た。
ケイトと呼ばれたそのご令嬢が、ユリアに気づく。
「あら、貴方どなた?ここは貴族席ですわよ?」
「え!あ、あの。私は……」
「ケイト様?この方は、わたくしの友人ですわ!」
「この方がユリア様のご友人?だって……庶民の方じゃない。」
ケイトは持っていた扇子で口を隠しながら
ユリアを上から下まで見定めている。
すみません。
はい、庶民です。
ミュゼットはユリアの手を握ってケイトに向かって
ニッコリ笑った。
「それに、ここは貴族席ではなく家族席ですわよ?ですから、ユリアさんが居ても何の問題もありませんわ。」
「ふん!」
ケイトが扇子をパタンと閉じて悔しそうに手を握った。
勝ったわ!と言う顔でミュゼットがユリアを見る。
ミュゼットさん……強い……。
貴族のご令嬢って凄いわ。
ユリアは庶民でよかった……と思った。




