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四度届いた手紙

本作品はフィクションです。

作中の願いを叶えることによる影響に関して当方は一切関知せず、かつ責任を負うことはありません。

君へ。



旅立つ準備は済んでいるだろうか。

もし済んでいるならば、確認して欲しい。

私も書くのを忘れていたのだが、身分証はあるだろうか。

保険証や免許証、学生証など、君が君であると証明する書類だ。

もし無いのならば、別の物はあるだろうか。

住民票や戸籍謄本、それらの写しでも構わない。

もしどれも用意することが難しいならば、通帳と印鑑、公共料金の支払い明細はどうだろうか。


酷く不安にさせていることと思う。

だがこれは手続き上、どうしても必要なのだ。

血縁者でもなく、面識もない私達が相続という手続きを済ませるために。

もちろん、本来の処理ではない。

私の財産を掠め取ろうとする者がいた場合に、それを阻止するための措置だ。


もしかしたら不信感を持ったかもしれない。

これまでのやり取りは、そうやって金を奪うための下準備だったのかと、疑われても仕方ない。


だから、私は君に頼みたいと思う。

そうした本人書類は用意しなくていい。

だから、代わりに一つだけ。

骨髄バンクドナーカードを用意して欲しい。

君の国がどこなのかはわからない。

だが取得それ自体は然程難しいものではないはずだ。

だがもし、年齢的に制限があるならば、臓器提供意思表示カードの方のドナーカードでもいい。

日本ではコンビニでも取得できるらしいから、もし君が日本にいるならば、より容易に取得できるだろう。


念のため告げておくが、私には君に危害を加える気はない。

だが献血同様、それが誰かの救いになるのだということを考えて貰いたい。

骨髄バンクも臓器提供も他人事だと思うかもしれない。


だが、人は死ぬのだ。


他人事だと思う無関心がなければ、命が救われることもあるだろうに。

私は病床に臥して、同室の人々の死を見た。

救いを求めて祈り、嘆き、絶望していく姿を。


そして、私自身が死に瀕して痛感している。

生きているからこそ、出来ることなのだと。


これは君を確認するための、二次的な方法でしかない。

だがもし、君がカードの作製を選んでくれるならば、それに勝る喜びはない。

少しでも私の後悔が活きるのならば。




君へ。

捧げよう。



本作品はフィクションです。

作中の願いを叶えることによる影響に関して当方は一切関知せず、かつ責任を負うことはありません。

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