三度届いた手紙
本作品はフィクションです。
作中の願いを叶えることによる影響に関して当方は一切関知せず、かつ責任を負うことはありません。
君へ。
元気にしているだろうか。
献血できるだけの元気があるのならば、喜ばしい限りだ。
私には献血も輸血も出来ないからね。
前回の手紙から今回までの間に、君は周りの人物を見定めることが出来ただろうか。
それにより縁を切ることとなった人物は、どれくらいになっただろう。
君は今、どうやって暮らしているのか。
一人暮らしだろうか。
家族と住んでいるだろうか。
そもそも君は、学生だろうか。社会人だろうか。自由業かもしれないし、自由に暮らしているのかもしれない。
私は君のことを、何も知らない。
おそらく、君も私のことを何も知らないだろう。
だがそれでも信じてくれている君に、私は応えたいと思う。
君自身の財産はどれほどだろうか。
それがどれほどだとしても、私とは比ぶべくもないことは以前にも伝えているが、君を貶めているわけでも、侮辱するつもりもない。
ただ事実として認識して貰いたい。
高原の清涼な空気の中、誰にも邪魔をされることなく、静かに日々が流れていくのを感じる。
そうした生活を君は送っているだろうか。
毎日、彼方へ此方へと行ったり来たりを繰り返していないだろうか。
責務に追われ、時間に追われてはいないだろうか。
満天の星空を眺めて穏やかな夜を過ごしたことはあるだろうか。
君よ。
その生活を送って来た私のようになるために、君に頼まなくてはいけない。
その身一つで旅に出るような、そんな用意はあるだろうか。
ちょっとしたお金と、数日分の着替え。そんな程度の片道分の用意はしているだろうか。
君がどこで暮らしているのかわからないが、その時が来たら君には暮らしている家から出て貰うことになる。
私の財産を譲り受けて貰うのだから。
そのために、君に頼まなくてはいけない。
極力身軽になって貰いたい。
体重のことではないよ。
しがらみ、というものを、極力減らしておいて貰いたいのだ。
理由は私の財産だ。
譲り受けることが知られると、君の周囲の人々は豹変するだろう。
もちろん、君が見定めたことはわかっている。君に人を見る目がないなどと揶揄するつもりもない。
だが人にはそれぞれ、しがらみがある。
本人に信を置くことができるとしても、その周囲の人間はそうとは限らない。
責められて流されて染まっていく姿を見ることは、信じているほど辛い。
そんな思いを君にはして欲しくないのだ。
君よ。
残酷に思うかもしれない。
無慈悲に感じるかもしれない。
だが、君がその人物を信じているならば。信じるに値する人物だと思うならばこそ。
その人物が周囲に歪められないよう、距離を置いて貰いたい。
君のためにも、その人物のためにも。
金で歪めるべきではない高潔な人物が、そのまま清らかであり続ける人生を送る選択を。
君へ。
捧げよう。
本作品はフィクションです。
作中の願いを叶えることによる影響に関して当方は一切関知せず、かつ責任を負うことはありません。




