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再び届いた手紙

本作品はフィクションです。

作中の願いを叶えることによる影響に関して当方は一切関知せず、かつ責任を負うことはありません。

君へ。



この手紙は無事に届いているだろうか。

差出人である私の名前も、受取人である君の名前も無い手紙。

この手紙を、君は待ってくれていただろうか。


まず、私は君に詫びなければならない。


前回の手紙で君へと頼んだことについてだ。

私には君が、財産を譲られることを誰にも知らせていないのか、確かめる術はない。

私が既に鬼籍にあるから、ということだ。


だが、そもそもそれを確認するようには使いの者に伝えていないのだ。


それは、その必要がないからだ。

誰かもわからない者から届いた手紙に書かれている、財産を譲るという話。

これを語ったとして、誰が信じるだろうか。


手紙を受け取った君でさえ、本当に信じてくれているのか。

私にはそれさえも確証がなく、確かめようも無いこと。

だから、あれは君の誠意を試すようなものでしかなく、君が私の言葉を信じていることを疑うに等しい行いだ。


だから、まずは君にそれを詫びなければならない。

すまなかった。

この手紙を見ている君のことを、私はもっと信じるべきだろう。

君は手紙が再び届くことを信じ、待ち、受け取り、読んでくれているのだから。


手紙を待っていてくれた君に、伝えておくべきことがある。

これは、私の信頼の証だと思って貰いたい。


前回の手紙から今回の手紙までの間。

君の友人、家族、親戚。

どのような繋がりかはわからないが、おそらく数名、君との連絡が途絶えているのではないだろうか。

もちろん私も、私の使いも、君の周囲に危害を加えるようなことはない。

安心して貰いたい。


君が私の財産を受け取ることを知った場合に、不利益を成す可能性がある人物が、少なからずいる。

そうした人物に、君との関わりが失くなるようにする必要があるのだ。

どうか理解して欲しい。

この処理は極力、君にも対応して貰いたい。

財産を譲り受けた場合に、本当にその人物が信用できるのか。

金の多寡で関係性を変えるような人物ではないか。

君を食い物にするような人物ではないか。

これは相手を知る君だからこそ、判断できることでもある。

そうした人物とは、極力縁を切って貰いたい。

私は君に財産を譲りたいのであり、君以外の誰かに譲りたいわけではない。

まして、それによって君が傷を負うようなことは避けたいのだ。


君は輸血を受けたことはあるだろうか。

私は適合する血液型が不足して、生死の境目を超えたことがある。

今は超えたままだがね。


今回の君への願いは、献血をして貰うことだ。

死に瀕することで私は痛感したのだ。提供できるうちにしておくべきだったと。

君一人の行動に、さしたる影響はないと思うかもしれない。

偽善と思うかもしれない。

それでも、機会があるならば、出来うる限り献血をして欲しいのだ。

それによって救われる命があるだろう。


これから先の手紙には、私の後悔が書かれていることがあると思う。

煩わしいものと感じるかもしれない。

だが、既に亡き先達からの助言だと思って、読んで欲しい。

君の経験として、私の後悔を活かして欲しい。




君へ。

捧げよう。


本作品はフィクションです。

作中の願いを叶えることによる影響に関して当方は一切関知せず、かつ責任を負うことはありません。

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