第一作業室③
翌日、僕は意気揚々と第一作業室に向かった。しかし、作業室の扉を開けたその先にあったのは、厳かな会議室でも射撃練習場でもなく、第三と同じようなオフィスだった。きっと部屋を間違えたのだと思い扉のプレートを確認してみるが、そこはやっぱり第一だった。すると、奥の方で女性が手招きしているのが見えた。僕は少し落胆しながらもその女性の方へ向かう。
彼女はきちんとした黒のスーツを着ているものの、髪型が金髪のボブでタバコが似合いそうな感じだった。
彼女が言う。
「君が宮戸君?」
「はい、そうですが」
「私は第一作業室副リーダー、沢山ユウ」
「よろしく」
「よろしくお願いします」
この沢山さんは第一のナンバー2ということだ。
下手に怒らせない方がいい。
「何か質問はある?」
「主な仕事内容は何でしょうか?」
「顧客への対応と殺しの下準備よ」
え?
「ライフルで打ったりしないんですか?」
「スナイパーはまた別にいるわ
そんなカンタンになれるものじゃないし」
僕は殺し屋に憧れてこの会社に入ったというのに。
「じゃ、さっそく業務内容を説明するわ」
「まずは、この資料を……」
これでは第三と変わらないではないか。
近いうちに辞めてしまおう。
沢山さんはそんな僕の心を見透かしたように言った。
「第三よりはましよ。スナイパーに少しでも関われるんだから」
そうですねと言いかけたその時突然サイレンが鳴った。
「第一作業室全作業員、ただちに5階会議室集合
第一作業室全作業員、ただちに5階会議室集合」
沢山さんが僕に目配せをする。いよいよ本番だ。
「宮戸君、社食からミネラルウォーター200本」
え、今なんて言いました?




