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スキル《おやくそく》!?なんじゃそりゃ、でもなぜか主人公補正が止まらない件  作者: にらいかない


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◆第9話:旅立ちの日

投稿記念一挙5話投稿

本日10話投稿します。

今後は1日2話(朝、晩予定)です。

よろしくお願いします

リアンが剣聖として神託を受けてから、街はずっと騒がしかった。

商店に来る客も「リアンちゃんはすごいねぇ」と話題にするほどで、

街の英雄のような扱いになっていた。


そして――ついにその日が来た。


リアンが王都の学院へ旅立つ日だ。


朝の空気は少し冷たくて、街の入口には見送りの人が集まっていた。

リアンは新しい服を着て、背中には学院から支給された小さな剣を背負っている。

その姿は、いつもの元気な少女ではなく、少しだけ大人びて見えた。


「ゼロ!」


リアンが俺を見つけて駆け寄ってきた。

その笑顔はいつも通りだけど、どこか寂しさが混じっているように見えた。


「来てくれたんだね!」


「もちろん。リアンの旅立ちだし」


リアンは嬉しそうに笑い、それから少しだけ視線を落とした。


「……なんか、変な感じだよ。

 ずっと一緒に遊んでたのに、急に離れるなんて」


「一年だけだよ。すぐ追いつく」


「うん……ゼロなら絶対来るって信じてる」


リアンは胸の前で手をぎゅっと握りしめた。

その仕草が、いつもよりずっと女の子らしく見えた。


馬車の準備が整い、学院の使者が声をかける。


「リアン様、そろそろ出発の時間です」


リアンは深呼吸し、俺の方へ向き直った。


「ゼロ……あのね」


リアンは一歩近づき、俺の手をそっと握った。

その手は少し震えていて、温かかった。


「わたし、王都に行っても……ゼロのこと忘れないから」


「忘れないよ。俺も」


リアンは小さく笑った。

その笑顔は、涙をこらえているようにも見えた。


その瞬間――

風が強く吹き、リアンの体がふらっと揺れた。


「きゃっ……!」


俺は反射的にリアンの腕を引き寄せた。

リアンは俺の胸に倒れ込み、しばらくそのまま動かなかった。


(……また妙なタイミングで風が……)


リアンは顔を上げると、頬を赤くして言った。


「……ゼロって、やっぱり頼りになるね」


「いや、たまたまだよ」


「たまたまでも……嬉しいよ」


リアンはそっと離れ、馬車の方へ向かった。

使者が手を差し伸べ、リアンは馬車に乗り込む。


扉が閉まる直前、リアンは身を乗り出して叫んだ。


「ゼロ! 絶対来てね!

 わたし、ずっと待ってるから!!」


俺は大きく頷いた。


「行くよ。必ず」


馬車がゆっくりと動き出す。

リアンは窓から手を振り続け、

その姿が小さくなるまで、ずっと俺を見ていた。


風がまた吹き、リアンの声が遠くまで届いた気がした。


こうして――

リアンは王都へ旅立った。


俺はその背中を見送りながら、胸の奥で静かに決意を固めた。


(必ず追いつく。学院に入って、リアンと肩を並べる)


それが、俺の新しい目標になった。

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