◆第74話:異例の注目と、王女の予感
俺たちが作戦を練るため控え室へ向かう間も、Bブロックの激闘は続いていた。
【Bブロック試合結果】
・第3試合:『ザ・インペリアル』 VS 『疾風の牙』
第2王子の圧巻の剣技と隙のない陣形により、優勝候補『ザ・インペリアル』が『疾風の牙』を一切寄せ付けず完封勝利!
・第4試合:『アマゾネス』 VS 『マッスルマッスル』
筋肉対女子の激突は、3年女子『アマゾネス』の緻密な連携魔法が男子の筋肉壁を打ち破り、見事勝利を収めた。
こうして午後の準決勝は、Aブロック『ヴォイド・シフル』VS『グランド・デューク』、Bブロック『ザ・インペリアル』VS『アマゾネス』というカードに決定したのだった。
◇
一方その頃――スタジアムの頂点に位置する王族用特別観覧席。
豪華な玉座に腰掛けた国王が、身を乗り出すようにして重厚な髭を撫で、満足げに目を細めていた。
「ハハハ! 今年は例年にも増して骨のある生徒が多いな! 我が息子も実に素晴らしい身のこなしだ。王族としての誇りと鍛錬がしっかりと身についておる」
「ええ、あなた。頼もしく成長されて、本当に誇らしくてかっこよかったですね」
傍らの王妃が微笑みを浮かべて深く頷く。国王はふと、隣で静かに手すりに手を掛け、鋭い眼差しでリングを見つめていた娘――スフィル王女へと視線を向けた。
「スフィル、お前はどうだ? この学園の精鋭たちの戦い……どこか心を動かされるチームはあったか?」
問いかけられたスフィル王女は、静かに手元の扇を閉じると、澄んだ瞳の奥に強い光を宿して静かに口を開いた。
「はい、お父様。……私は、第1試合で戦った『ヴォイド・シフル』から目が離せませんでしたわ」
「ほう? 1年生のあの三人組か。……確かに『剣聖』の少女の剣筋は見事だったが……」
「ええ。ですがお父様、私が惹かれたのはそれだけではありません」
スフィル王女は胸にそっと手を当て、確信に満ちた熱い声で語りかける。
「圧倒的な天賦の才を持つ『剣聖』。そして、経験こそ浅いものの恐ろしいほどの伸び代を秘めた魔法士の少女。……ですが何より、あの中心に立つ『男の人』ですわ」
「あの男……? 確か、何やら意味の分からぬナイフ投げをしておったFランクの生徒だろう?」
「一見すれば、ただの茶番に見えるかもしれません。……ですが、違いますわ。あの男の人が一歩動いた瞬間、戦場の流れが、敵の思考そのものが決定的に狂わされていた。まるで……この世界の『理』そのものを裏で操っているかのように」
「……なに?」
王女の熱を帯びた言葉に、国王は思わずグッと眉を跳ね上げ、身を乗り出した。
「お前がそこまで他者に強い興味と評価を示すとは……異例だな、スフィル。……面白い! そこまで言わしめる男、見過ごすわけにはいかん!」
国王は豪快に笑い飛ばしながらも、その瞳には王としての鋭い好奇心を滾らせた。
「次は公爵家の『グランド・デューク』……あの鉄壁の陣を前に、その男がどう動くか。勝つのは至難の業だろうが……しかとこの目で確かめさせてもらうぞ!」
「ええ……。あの男の人が、次にどんな『奇跡』を引き起こすのか……真の力、見せていただきたいものですわ」
スフィル王女は期待に胸を躍らせるように微かな笑みを浮かべ、再び静かにリングを見下ろすのだった。
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