◆第73話:公爵家の威厳と、完璧なる一劇
『――本戦第2試合! 『グランド・デューク』 VS 『聖剣の誓い(オース・オブ・ブレイド)』……試合開始!!』
大きな合図とともに、3年精鋭チーム『聖剣の誓い』の前衛ふたりが猛然とダッシュを開始した。
「3年の意地を見せてやる! 一気に後衛を叩くぞ!」
対する『グランド・デューク』の陣形は不気味なほど動かない。
ドリルツインテールを揺らすエリザベート先輩は、自身は一切武器も杖も構えず、腕を組んで優雅に最後方に立っているだけだった。
「慌てずともよろしくてよ。ゴードン、防ぎなさい」
「はっ!」
エリザベート先輩が扇子をパチンと鳴らして指示を出すと、前衛の魔法騎士が前に躍り出た。
剣に魔力を滾らせ、迫り来る3年生たちの攻撃を重厚かつ完璧な防御障壁でことごとく受け止める。
「なっ……前衛ひとりで俺たちふたりの連撃を完璧に止めた……!?」
「今ですわ。セシリア、カトレア。……おやりなさい!」
エリザベート先輩の冷徹な声が響いた瞬間、後衛に控えていた二人の魔法士が同時に長杖を掲げた。
「「――合体二重詠唱『氷獄の雷槌』!!」」
ふたりの魔法士が放ったのは、単体でも強力な氷魔法と雷魔法を融合させた強力な協力魔法!
巨大な氷の槌に激しい紫電が纏わりつき、凄まじい速度で3年生チームへと振り下ろされた!
ドッゴォォォォンッ!!
「ぐあぁぁぁぁッ!?」
スタジアム全体を激震させるほどの爆風と雷光。
氷と雷の合体攻撃を直撃された3年チームは、一瞬で3人が白目を剥いて薙ぎ倒され、壊滅状態に陥った。
「くっ……ま、まだだ……! まだ終わって――」
唯一耐えたリーダーの剣士が、フラフラと膝を突きながら意地で立ち上がろうとする。
だが、エリザベート先輩は冷たい視線で見下すのみだった。
「しぶといですわね。……ゴードン、追撃を」
「御意」
前衛の魔法騎士が鋭く踏み込み、一閃。
たったそれだけのあっけない追い打ちで、立ち上がろうとした剣士は静かに崩れ落ちたのだった。
『ま、参った……! 勝者、パーティ『グランド・デューク』!!』
『……強い! 圧倒的です! エリザベート選手は一歩も動かず、指示だけで3年精鋭チームを粉砕しました!!』
超満員の観客席から割れんばかりの歓声が巻き起こる。
「……やばいな。マジで強いぞあいつら……」
観覧席の通路からその光景を見ていた俺は、思わず冷や汗を流した。
エリザベート先輩自身は一切手を下さず、魔法騎士の鉄壁と魔法士ふたりの協力魔法だけで3年精鋭を赤子扱いしてみせたのだ。
「前衛の防御も固いし、後衛のあの合体魔法……直撃したら一発で持っていかれちゃうよ……っ」
リアンが真剣な表情で眉をひそめる。
「どうしましょう、ゼロさん……あんなの正面からぶつかったら……っ!」
ウーも不安そうに身を寄せ寄せてくる。
「……落ち着け。エリザベート先輩の戦い方はよく見えた。……午後の準決勝までに、あいつらを崩す完璧な作戦を考えよう」
俺は上空の石柱の上で「ぬー(骨がありそうだな)」と不敵に尾を振るネロを見上げながら、深く息を吐き出した。
打倒『グランド・デューク』――俺たちの本当の勝負は、午後の準決勝からだった。
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