◆第7話:ふたりの修行
投稿記念一挙5話投稿
本日10話投稿します。
今後は1日2話(朝、晩予定)です。
よろしくお願いします
学院に行くと決めてから、俺は毎日のように勉強と体力づくりを始めた。
読み書き、計算、地図の読み方、魔物の特徴。
そして、斥候を目指すなら必要になる体力と動きの訓練。
そんな俺を見て、リアンはいつも嬉しそうに言った。
「ゼロ、がんばってるね! わたしも手伝うよ!」
リアンは剣の才能がある。
だから、俺の修行にも自然と付き合ってくれる。
この日も、店の裏の広場で木の枝を使った訓練をしていた。
「ゼロ、もっと腰を落として! そうそう!」
リアンは俺の姿勢を後ろから直してくれる。
背中に触れる手が小さくて温かい。
「リアンは本当に剣が上手いよな」
「えへへ、でしょ? でもね、ゼロもすぐ上手くなるよ!」
リアンはそう言って笑った。
その笑顔を見ると、なんだか胸がくすぐったくなる。
訓練が終わると、ふたりで森の入口まで軽いランニングをした。
斥候を目指すなら、足腰を鍛えるのは必須だ。
「ゼロ、走るの速くなったね!」
「リアンが引っ張るからだよ」
「じゃあ、もっと引っ張るね!」
リアンは俺の手をぎゅっと握って走り出した。
その勢いに引っ張られ、俺は慌ててついていく。
(……なんか、こういうの多いよな)
リアンは自然と距離が近い。
手をつないだり、腕を引っ張ったり、顔を覗き込んだり。
子どもだから、というのもあるけど――
それだけじゃない気がする。
森の入口に着くと、リアンがふいに言った。
「ゼロと一緒だと、なんか楽しいんだよね」
「そうか?」
「うん。だって、ゼロって優しいし、落ち着いてるし……
わたし、ゼロといると安心するんだ」
リアンは照れたように笑った。
その表情は、いつもの元気さとは違う柔らかさがあった。
俺が何か言おうとしたその瞬間――
木の上から何かが落ちてきた。
「わっ!」
リアンが驚いて俺にしがみつく。
俺は反射的にリアンを抱きとめた。
落ちてきたのは、ただの木の葉だった。
風で舞っただけの、なんでもない葉っぱ。
(……タイミングが変すぎるだろ)
リアンは俺の胸に顔を埋めたまま、小さく言った。
「……ゼロ、あったかい……」
「えっ……」
リアンはすぐに離れたが、頬がほんのり赤かった。
「ご、ごめん! びっくりして……!」
「いや、気にしなくていいよ」
リアンは胸の前で手をぎゅっと握りしめて、
それから少し照れたように笑った。
「ゼロって、なんか……守ってくれそうだよね」
その言葉に、胸が少し熱くなった。
帰り道、リアンはずっと俺の横を歩いていた。
いつもより距離が近い。
時々、手が触れそうになる。
「ゼロ、学院……絶対来てね」
「もちろん」
「わたし、楽しみにしてるから」
リアンの声は、夕日の中で少しだけ震えていた。
その響きが、妙に心に残った。
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