◆第6話:自分の道を探して
投稿記念一挙5話投稿
本日10話投稿します。
今後は1日2話(朝、晩予定)です。
よろしくお願いします
リアンと「学院に行こう」と決めたあの日から、俺はずっと考えていた。
リアンは剣がある。
才能もある。
夢もある。
じゃあ、俺は――何ができるんだろう。
その日の夜、部屋の中でひとり座り込み、そっと目を閉じた。
(ステータス)
透明な画面がふわりと浮かぶ。
筋力、敏捷、耐久、魔力……どれも平均的。
特別高いわけでも、低いわけでもない。
そして、スキル欄。
【???】
ぼんやり光る空欄。
名前は出ない。
説明もない。
ただ、そこに“何かがある”と示すように、淡く輝いている。
「……なんとなく、ありそうなスキルなんだよな」
意味はわからない。
でも、空っぽではない。
何かが眠っているような気がする。
リアンみたいに剣の才能があるわけじゃない。
魔法はスキルがないと使えない。
鍛冶や職人系も興味はあるけど、学院で学ぶなら方向性が違う。
「俺は……何がしたいんだろう」
ステータスを見つめながら、前世のことを思い出す。
三十を過ぎるまで働き詰めで、夢なんて考える余裕もなかった。
だからこそ、この世界ではちゃんと自分の道を選びたい。
「軍師とか……かっこいいよな」
頭脳で戦う職業。
戦場で指揮を執る役割。
でも、軍師は貴族や高位の家柄が多い。
平民の俺には遠い。
「冒険者……いいよな」
自由で、強くて、仲間と旅をして。
危険はあるけど、前の世界よりずっと生きてる実感がありそうだ。
冒険者になるなら、戦力か、支援か、斥候か。
俺のステータスを見れば、戦力としては弱い。
魔法も使えない。
でも――
「斥候系なら、いけるかもな」
敵の位置を探ったり、地形を調べたり、先に危険を察知したり。
派手ではないけど、冒険者パーティには必ず必要な役割だ。
敏捷は平均だけど、鍛えれば伸びる。
頭も悪くない。
前世の経験もある。
何より、俺は慎重で、周りを見る癖がある。
「よし……勉強してみるか」
学院に入るなら、読み書き、計算、歴史、魔物の知識。
斥候なら地理や地形の理解も必要だ。
俺は机に向かい、紙とペンを取り出した。
母が買ってくれた学習用の簡単な本を開く。
「まずは基礎からだな」
文字をなぞり、地図を見て、魔物の特徴を覚える。
前世では仕事に追われて勉強する余裕なんてなかった。
でも今は違う。
リアンが夢に向かって走っている。
俺も、自分の道を見つけたい。
空欄のスキルをちらりと見ながら、俺はそっと呟いた。
「……いつか、このスキルの意味もわかるといいな」
その光は、まるで「まだだよ」と言っているように見えた。
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