◆第58話:大会直前! 決め手の合体技と『おやくそく』
それから瞬く間に月日は流れ――気づけば『全校パーティ対抗武道会』の開幕まで、残り一週間となっていた。
この期間でのみんなの成長は目覚ましかった。
リアンはあの大技『千風残影斬(仮)』を自分のものにしつつあり、ウーも誘導魔法の精度と威力を大幅に底上げしていた。
だが――演習場で汗を拭う俺たちは、どこか物足りなさを感じていた。
「二人とも技のキレは最高なんだけどさ……あと一押し、何か『決め手』が欲しいよな」
俺が言うと、リアンも木剣を鞘に収めながらうなずいた。
「うん……個人の技は強くなったけど、三人で合わされた時の『ヴォイド・シフルだけの最強のコンビネーション(合体技)』があったら、エリザベート先輩たちのパーティにも絶対に負けないと思う!」
「三人での合体技……! 私、やってみたいですっ!」
ウーも目を輝かせる。
「よし! じゃあフォーメーションの練習だ! まずウーが誘導魔法で相手の視界を奪って、俺が前線に飛び出して足止めをし、そこにリアンの必殺技をぶち込む!」
「了解っ! ゼロ、行くよーーーっ!」
気合い十分で俺へと突進してくるリアン。
だが、その瞬間――気合いが入りすぎて足を滑らせたリアンが、あわあわと体勢を崩した。
「あっ……きゃああっ!?」
「うおっ、危険――ぐはっ!?」
受け止めようとした俺だったが、勢いを殺しきれず二人まとめて豪快にド派手に転倒。
ドサッと地面に倒れ込んだ瞬間、俺の視界いっぱいにリアンの顔が迫り――
【条件達成:『特訓中の足もつれによる密着ハプニング』】
【スキル『おやくそく』発動――確定イベント:『ラッキースケベ&奇跡の閃き』】
「ぐえっ……!?」
気がつくと、俺の上にリアンが押し倒される格好で重なっていた。
柔らかい感触と甘い香りが全身を包み込み、リアンの顔が指一本分の至近距離にある。
しかも――俺の右手が、リアンの胸元にジャストフィットで埋もれていた。
(……ムニッ)
「……っ!?」
手に伝わる、信じられないほど柔らかくて吸い付くような弾力。
「あ、あはは……すまんリアン、怪我はないか――って、待てよ!?」
この圧倒的ハプニングの衝撃とともに、俺の脳内にひとつの『閃き』が雷のように駆け抜けた。
「……これだ! 俺の役目は斥候としての罠設置だ! ウーの誘導魔法で敵の意識を上に逸らした瞬間に、俺がすかさず相手の足元に捕縛系や拘束の罠を設置して動きを完全に封じる! 逃げ場を失った相手に、リアンが全開の必殺技を叩き込めば――」
熱弁を振るう俺の顔の上で、リアンが真っ赤な顔をしてぷるぷると震えていた。
「ぜ、ゼロ……。熱弁してるところ申し訳ないんだけど……」
「ん? どうしたリアン?」
「……いつまで揉んでるのよーーーっ///(ポカポカポカッ!)」
「ぶへぇっ!? あっ、ごめん手が無意識に……ッ!?」
「きゃ、きゃああっ!? ゼ、ゼロさん! リアン先輩……っ///」
両手で目を覆いながら真っ赤になって右往左往するウー。
ポカポカと顔を真っ赤にして俺の胸を叩くリアンだったが、フッと息をつくと胸の上から体を起こし、恥ずかしそうに頬を染めながら俺を見つめてきた。
「もう……ゼロのバカ。……でも、今の作戦はすごく良いと思う!」
「お、おう! 俺が斥候として完璧なタイミングで罠を仕掛けて足を止める! そうすればリアンの技もウーの魔法も100%命中するはずだ!」
「ふふ、ゼロさんが相手を罠にかけるなら、私も安心して魔法を撃ち込めますっ!」
ウーが感動したように拳を握りしめる。
リアンも真っ赤な顔のまま、キュッと唇を結んで俺の手をギュッと強く握り返してきた。
「決定だね! ゼロの罠とウーちゃんの誘導魔法、そして私の必殺技……これが私たちの最終奥義『ヴォイド・シフル・フルバースト』だよ!」
「なー!(任せろ!)」
頭の上のネロも気合いの声をあげ、こうして俺たちの最強の合体技が完成したのだった。
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