◆第55話:武道会への道と、意外な過去
「――というわけで! 武道会に向けて特訓を開始するよ!」
演習場の中央で、リアンが腕を組んで宣言した。
「そういえばリアン、去年はどうだったんだ? 『剣聖』のユニークスキルを持ってるんだし、そこそこ上位まで行ったんじゃないのか?」
俺の問いかけに、リアンはニシシと笑って首を振った。
「ううん、私、去年は出てないよ。ソロだったしね!」
「ええっ!? リアン先輩なら、どこからでも引っ張りだこで誰とでも組めたんじゃないですか……!?」
ウーが驚きで目を丸くする。学院でもトップクラスの剣士であるリアンなら、引っ張りだこだったはずだ。
「んー、確かに誘いは山ほどあったよ? でも私、ゼロとしかパーティ組むつもりなかったから全部断ったんだ~!」
さらりと恐ろしいことを言い放ち、俺の腕にすり寄ってくるリアン。
「お、おいっ……! じゃあ去年、俺が入学してくるまでずっと待ってたってことか!?」
「当たり前じゃん! ゼロと一緒に冒険者やるのが私の夢だったんだから! だから私も武道会は今年が初めてなんだ。でもね、去年の試合観てたけど……上位陣はかなりレベルが高かったよ」
リアンは表情を引き締め、真剣な目つきになった。
「学年関係なしの無差別トーナメントだし、上位にはプロ級の3年生もゴロゴロいる。正直、私一人だけの力じゃ勝ち抜けない。だから……ウーちゃんの魔法の威力と精度、それと発動スピードを限界まで上げる必要があるの!」
「は、はいっ! 私、必死で練習します……っ!」
ウーが力強く頷き、愛用の杖をギュッと握りしめる。
「よしよし、いい返事! じゃあウーちゃんには私が特訓をつけてあげるね!」
ウーの肩をぽんぽんと叩いたリアンは、最後にチラリと俺の方へ視線を向けた。
「で……ゼロは……」
「おう! 俺にはどんな特訓を――」
「うん……がんばれ!」
「雑かーーーっ!!?? 雑すぎるだろ俺へのアドバイス!!」
俺の思わずのツッコミに、頭の上のネロが「なー(まあ頑張れ)」と他人事のように一口鳴くのだった。
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