◆第47話:猫の真価と、驚愕の四連撃
お昼ご飯のサンドイッチを食べ終え、腹ごしらえも済んだ俺たちはシートをたたんで立ち上がった。
「よしっ、お腹いっぱいになったし、次はスライム退治だね!」
リアンがやる気満々で腰の長剣の柄に手をかける。
「スライムはもう少し森の奥に行った湿地あたりにいるはずだから、気を引き締めていこう!」
「はいっ!」
木々の間を少し進むと、少し湿った開けた場所に出た。
足元に気を配りながら進んでいると、リアンがぴたりと足を止め、前方を指差した。
「いた! 二匹いるね!」
視線の先には、プルプルと揺れる緑色の半透明な塊――スライムが二匹、のんびりと跳ねていた。
「片方は私が倒すね!」
リアンが言った瞬間には、もう姿が消えていた。
シュバッと風を切る音が響いたと思うと、次の瞬間には一匹のスライムが綺麗に一刀両断され、弾けて消えていた。Cランク冒険者の圧倒的な早業だ。
「さっすがリアン……相変わらず容赦ないな」
「ふふん、これくらい朝飯前だよ! じゃあ、もう一匹はウーちゃん、魔法でやってみて!」
「は、はいっ……!」
指名されたウーは、緊張でごくりと唾を飲み込み、愛用の杖をギュッと握りしめた。
ゆっくりと呼吸を整え、スライムに向かって杖を構える。
「集いし火素よ、我が導きに従い敵を穿て――『ファイア』!」
短く澄んだ詠唱とともに、杖の先から野球ボールほどの火球が放たれた。
一直線に飛んで行った火球はスライムの核に見事命中し、一撃で蒸発させてしまった。
「やった……! 倒せました……っ!」
「すごいじゃんウーちゃん! 詠唱も正確だし、コントロールもバッチリだよ!」
「ああ、お見事! 初討伐おめでとう、ウー!」
「えへへ……二人とも、ありがとうございますっ!」
褒められて照れくさそうに笑うウー。
それを見て、俺の冒険者魂にも火がついた。
「よし、スライム相手なら俺もナイフでいけるはずだ……探してみよう!」
俺は腰から初心者用の短剣を抜き、慎重に周囲を探した。
すると、茂みの奥からズルズルと蠢く音とともに――なんと五匹ものスライムが一斉に姿を現した!
「おおっ、一気に五匹も!? よし、やってやるぜ!」
俺は勢いよく飛び出し、一番手前にいたスライムの核を目がけてナイフを突き刺した。
パンッと弾けて一匹討伐成功!
(よしっ、いける――!)
手応えを感じたのも束の間、残りの四匹が一斉に体を膨らませ、俺に向かって飛びかかってきた。
「あっ、ゼロ! 残りが反撃してくるよ!」
「ゼロさん、危ないです……っ!」
(くっ、四匹同時はマズい――!?)
身構えたその時だった。
「なーッ!!」
鋭い鳴き声とともに、俺の頭の上から黒い影が弾丸のように飛び出した。
空中へと舞い上がった黒猫は、まるで空間を蹴るように素早く反転すると、前脚の鋭い爪をシャキーンと剥き出しにした。
シュシュシュシュッ――!!
目にも留まらぬ速度で放たれた一閃。
閃光のような引っ掻き攻撃が交差した瞬間、飛びかかってきていた四匹のスライムが一気に真っ二つに切り裂かれ、空中ではじけ飛んだ。
トタッと、何事もなかったかのように俺の肩に着地する黒猫。
「「「えーーーーーっ!???」」」
俺、リアン、ウーの三人の絶叫が、森の中に響き渡ったのだった。
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