◆第4話:森の小さな冒険
投稿記念一挙5話投稿
本日10話投稿します。
今後は1日2話(朝、晩予定)です。
よろしくお願いします
リアンと剣の遊びをする日々が続き、俺の幼少期はにぎやかになっていった。
リアンは毎日のように店の前へ来ては、「ゼロ、遊ぼう!」と俺を外へ連れ出す。
その元気さに、俺はいつも振り回されていた。
ある日、リアンが目を輝かせて言った。
「ゼロ、森に行こう! ちょっとした探検だよ!」
「森って……危なくない?」
「だいじょうぶ! 入口の近くだけだし、わたしがいるから!」
その自信満々な笑顔に押されて、俺は渋々頷いた。
森の入口は、街から少し離れた場所にある。
木々が生い茂り、昼間でも薄暗い。
俺は慎重に足を進めたが、リアンはまるで自分の庭のようにずんずん歩いていく。
「ゼロ、これ見て!」
リアンが指差した先には、青く光る小さな実が落ちていた。
丸くて、ビー玉のように透き通っている。
「これ、レア素材なんだって! お父さんが言ってた!」
「えっ、こんなところに落ちてるの?」
「うん! 森の精霊が落としていくんだって!」
リアンは嬉しそうに拾い上げた。
俺も覗き込むが、どう見てもただの偶然にしか思えない。
(……なんか、こういうの多いよな)
森に来るのは初めてなのに、いきなりレア素材を拾う。
妙な偶然が続くのは、やっぱり気になる。
「ゼロ、もっと奥に行ってみよう!」
「え、ちょっと危ないんじゃ……」
「平気だよ!」
リアンは俺の手を引っ張り、さらに森の奥へ進もうとする。
その瞬間――木の上から何かが落ちてきた。
「きゃっ!」
リアンが驚いて後ろへ下がる。
俺も慌てて身を引いた。
落ちてきたのは、小さな魔物だった。
丸くて、ふわふわした毛玉のような生き物。
だが、牙が生えていて、目つきが鋭い。
「ゼロ、下がって!」
リアンが木の枝を構えた。
まだ幼いのに、その姿は妙に様になっている。
魔物がリアンに向かって跳びかかった。
リアンは一歩踏み込み、枝を横に払う。
風が鳴った。
枝が魔物を弾き飛ばし、魔物は地面に転がった。
リアンはすぐに追撃しようとするが、魔物は怯えたように叫び――
「ギャフッ……!」
そのまま森の奥へ逃げていった。
リアンは胸を張って振り返った。
「どう? すごかったでしょ!」
「うん……すごいよ。ほんとに強いんだな」
リアンは照れたように笑った。
「ゼロが見ててくれたから、がんばれたんだよ!」
その言葉に、俺は少しだけ胸が温かくなった。
帰り道、リアンは拾った青い実を俺に差し出した。
「これ、ゼロにあげる!」
「え、いいの?」
「うん! 今日の記念!」
俺はその実を受け取り、そっとポケットにしまった。
(……なんか変な偶然は多いけど)
リアンと過ごす時間は、確かに楽しかった。
そして俺は知らなかった。
この小さな冒険が、後に続く大きな運命の始まりになることを。
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