◆第39話:輝くプレートと、始まりのバッジ
「はい、お待たせいたしました! こちらがお二人の冒険者プレートになります!」
受付嬢から笑顔で手渡されたのは、ズッシリとした重みのあるプレートだった。
「冒険者ランクは全部で八段階に分かれております。下から順番に――
・Fランク:鉄(黒ずんだ鉄のプレート)
・Eランク:銅
・Dランク:青銅
・Cランク:銀
・Bランク:金
・Aランク:白金
・Sランク:黒金
・SSランク:星銀
――となっております。クエストの達成度やギルドへの貢献によってプレートの色が昇格していきますので、頑張ってくださいね!」
「へぇ……Fランクは鉄か……!」
手渡された黒く鈍い光を放つ鉄のプレート。
俺は思わず光にかざしてみたり、裏返して刻まれた自分の名前と『F』の文字を指で撫でてみたりと、子どもみたいにはしゃいでしまった。
(うわぁ……めちゃくちゃ男のロマンくすぐられるなこれ……! 前世のゲームで見たカードそのままだ!)
頭の上の黒猫に「なー」と呆れられつつも、俺は冒険者になった実感を噛みしめていた。
「そして、こちらがパーティ『ヴォイド・シフル』の結成記念バッジになります!」
手渡されたのは、ギルドの基本デザインであるシンプルな丸型のバッジだった。
「冒険者ギルドでは、Cランク以上に昇格すると自分たちのパーティオリジナルの紋様を刻印できるようになります! まずはCランクを目指して頑張ってくださいね!」
「へえ、オリジナルの紋章か! 格好いいな!」
この世界では、ギルド公式のバッジを着用してパーティとして認識されることで、支援魔法の効果範囲が味方全体に共有されたり、討伐時の経験値や成果が自動でパーティ実績として記録されるという魔法的なシステムが存在する。仕組みの詳細は解明されていないが、まさにファンタジーの醍醐味だ。
バッジを受け取ったリアンは、それを手のひらに載せ、どこかしみじみとした愛おしそうな眼差しで見つめていた。
「……やっとだ」
ぽつりと小さく呟かれた言葉。
一年前から学院に入り、ソロでCランクまで駆け上がりながらも、ずっと俺が来るのを待っていたリアンの本心がそこに詰まっていた。
一方、ウーはバッジを両手で大切そうに抱え、目を潤ませてあわあわと慌てていた。
「わ、私なんかが本当にこんな素晴らしいパーティに入っちゃっていいんでしょうか……っ!? 足引っ張らないように、私、命がけで頑張ります……っ!」
「命はかけなくていいからな、ウー。楽しくやろうぜ」
「はいっ……! ゼロさんっ!」
「よーし! 早くCランクになって、三人で最高のオリジナルバッジ作ろうね!」
「応!」
プレートとバッジを胸に刻み、俺たち『ヴォイド・シフル』は本当の意味で一歩を踏み出したのだった。
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