◆第33話:噴水広場の遭遇と、二つの驚き
王都中央街、噴水広場。
勢いよく水柱が上がる巨大な噴水の縁に腰掛け、俺は二人がやって来るのを待っていた。
……頭の上に、小さな黒猫をちょこんと乗せたまま。
(……めちゃくちゃ視線を感じる。そりゃそうだよな、頭に猫乗せて佇んでる奴なんて怪しすぎるわ……)
道行く人々からの生暖かい視線に耐え忍んでいると、遠くから元気な声が響いた。
「ぜーろー! お待たせー!」
見立つのも当然、赤髪をなびかせたリアンが手を振りながら駆け寄ってきた。
そしてその隣には――どこか気恥ずかしそうに、おずおずと歩いてくる一人の可憐な少女の姿があった。
「……え?」
思わず、俺の目が点になった。
そこにいたのは、今までのボサボサだった黒髪をツヤツヤの綺麗なショートボブに整え、前髪から覗く大きな瞳を可愛らしく輝かせた――劇的な変身を遂げたウーだった。
「ウー……なのか……!?」
「あ……あの……ゼロさん……変、じゃないでしょうか……?」
うつむき加減に、両手で頬を押さえながら上目遣いで俺を見つめてくるウー。
ポッと赤くなった顔と、整えられたサラサラの髪が光を反射して、息をのむほど可愛らしい。
「変どころか……めちゃくちゃ似合ってるぞ。すごく可愛い……」
「っ……! あ、ありがとうございます……っ!」
俺の正直な感想に、ウーの顔はさらに林檎のように真っ赤になり、嬉しそうに胸元で小さな拳をキュッと握りしめた。
「ふふーん! でしょー! 私プロデュースだからね!」
鼻を高くするリアン。だが次の瞬間、リアンの目が俺の頭頂部に釘付けになった。
「……って、ちょっと待ってゼロ。ウーちゃんの可愛さに見とれて誤魔化されそうになったけど……その頭の上のやつ、何!?」
「……なー」
リアンの指差しに答えるように、頭の上の黒猫がタイミングよく可愛らしく鳴いた。
「えっ、猫ちゃん……!? ゼロさん、なんで頭の上に猫乗せてるんですか……!?」
ウーも驚いて目を丸くしている。
「いや、裏路地を歩いてたら急についてきてさ。降ろそうとしたんだけど、髪に爪引っかけて絶対に降りてくれないんだよ……」
「あははは! 何それ、ゼロ頭の上巣穴にされてるじゃん! 超ウケるんだけど!」
お腹を抱えて爆笑するリアンと、「ふふっ」と可憐に微笑むウー。
頭の上で寛ぐ謎の黒猫と、劇的イメチェンを遂げたウー。
カオスすぎる状況ではあるが、午後の王都デート(兼お買い物)は、大波乱の予感を秘めたまま賑やかに幕を開けたのだった。
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