◆第30話:休日の王都と、置き去りの主人公
待ちに待った休日。
朝一番に男子寮の部屋を突撃してきたリアンに腕を引かれ、俺は王都アルカディアの中央街へと連れ出されていた。
「ゼロ、ウーちゃんも誘っていこうよ! 私、ちょっとやりたいことがあるんだー!」
というリアンの提案でウーも合流し、三人でやってきた王都のメインストリート。
入学以来、授業や特訓で忙しくてゆっくり巡る機会がなかったが、石畳の道路の両脇には色鮮やかな露店やショップが建ち並び、大勢の人々で行き交う活気に満ちあふれていた。
「へぇ……すごい活気だな。王都に来てからずっと学院に引きこもりっぱなしだったから新鮮だわ」
「でしょー! 食べ歩きも美味しいお店がいっぱいあるんだよ!」
「あの……私、こんなに大きな街に来たの初めてで……ちょっとドキドキします」
目を輝かせるリアンと、おどおどしながらも嬉しそうに周囲を見渡すウー。
さて、まずは三人でどこから回ろうか――そう思って口を開掛けた、その時だった。
「よしっ! じゃーお昼ご飯まで、女二人で行くところあるから、ゼロはどっか行ってて!」
「……は?」
唐突すぎるリアンの宣言に、俺は思わず間抜けな声を漏らした。
「え、ちょっと待て、デートの誘いじゃなかったのか……?」
「デートは午後から! 午前中はウーちゃんと女子水入らずの用事があるの! ね、ウーちゃん!」
「えっ……あ、あの……私っ!? ゼロさ~んっ!?」
返事をする間もなく、リアンはウーの手をガシッと掴むと、すさまじい脚力で人ごみの中へと駆け出していった。
ウーは悲鳴のような声を上げながら、あーっと手を伸ばして人混みの向こうへと消えていく。
ポツン。
王都の大通りの真ん中で、一人取り残される俺。
(……なんだろ??)
嵐のように去っていった二人を見送り、俺は首をかしげた。
ウーを怖がらせている様子もなかったし、リアンのことだから何か楽しいことでも企んでいるのだろうか。
(まあ……いっか。せっかくの自由時間だし、お店でも見て回るか)
一人になった俺は肩をすくめ、王都のショップや武具店、道具屋をぶらぶらと見て回ることにした。
まさかこの後、昼休みの噴水広場で――“驚きの光景”を目にすることになるとは知らずに。
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