◆第19話:クラス分けと、新たな拠点
今後は1日2話(朝、晩予定)です。
よろしくお願いします
「じゃあゼロ! まずはクラス分けの掲示板を見に行こう!」
すっかり上機嫌なリアンに手を引かれ、俺たちは敷地の中央にある巨大な掲示板へと向かった。
新入生たちが群がっており、人垣ができている。
アルカディア学院のクラスは、上から『α(アルファ)』『β(ベータ)』と続き、全部で10のクラスに分かれている。
最上位のαとβは、高位貴族の令息令嬢や、Sランク・Aランクといった強力なスキルを持つ優秀な生徒が集められる特待クラスだ。
「ゼロのクラスはどこかな……あ、あった!」
リアンが指差したのは、ちょうど真ん中に位置する『ε(イプシロン)』クラスのリストだった。
【εクラス:ゼロ】
周囲の平民や低ランクスキルの生徒たちが『θ(シータ)』や『ι(イオタ)』といった下位クラスに集まっている中、俺の名前はしっかりと真ん中のクラスに刻まれていた。
貴族以外の平民に苗字はない。リストに『ゼロ』とだけ書かれた文字を見つめながら、俺は胸を撫でおろした。
「えぇーっ、εクラス……? ゼロと一緒に授業受けられないの……?」
リアンがわかりやすく唇を尖らせて不満を漏らす。
そもそもリアンは1年先に入学した2年生だから学年自体が違うのだが、特例の合同授業などで同じクラスになれれば……と淡い期待を抱いていたらしい。
「まあまあ。俺はFランクスキルなんだぞ? 一番下のクラスじゃなくて真ん中になれただけでも上出来だって」
「でも……ゼロはすごいのに……」
(いや、事前試験で奇跡的に合格できただけなんだけどな……)
これもきっと、道中で拾った参考書や試験中の絶妙な風という“お約束”のおかげだろう。前世の知識と運が噛み合った結果のεクラスだ。陰で目立たずに立ち回りつつ勉強するには、一番ちょうどいい立ち位置と言える。
「よし、自分のクラスも確認できたし、次は寮へ向かうか」
「うん! 男子寮と女子寮は敷地の東と西で分かれてるんだよね。あ、放課後や学年合同の特別授業のときは絶対一緒に過ごすからね! 約束!」
「はいはい、わかったよ。学年が違うんだから無理するなよ。じゃあまた後でな」
「うん! またね、ゼロ!」
大きく手を振りながら女子寮の方へ走っていくリアンを見送り、俺は男子寮が立つ東側のエリアへと足を進めた。
(寮はどんなところだろうな……)
平民用の相部屋か、あるいは古びた木造校舎のような場所か。
前世の営業時代に泊まった格安ビジネスホテル以上の環境なら文句はないが、貴族と平民の格差が激しいこの学院だ。多少のボロさは覚悟しておいた方がいいかもしれない。
そんなことを考えながら木々に囲まれた小道を抜けると、俺の目の前に大きな建物が姿を現した。
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