◆第15話:学院試験へ向かう道中
今後は1日2話(朝、晩予定)です。
よろしくお願いします
学院の入学は十三歳から。
でも十二歳の今、王都の学院では「事前適性試験」が行われる。
基礎学力や体力、魔物への理解度などを測る試験だ。
これに合格しておけば、来年の入学がぐっと楽になる。
だから俺は今日、王都へ向かうことになった。
朝早く、家の前で父と母が見送ってくれる。
「ゼロ、気をつけて行くんだぞ」
「試験だからって緊張しすぎないようにね」
「うん。行ってきます」
背中を押されるような気持ちで、街道へ足を踏み出した。
王都までは馬車で半日ほど。
伯爵領の馬車に乗り込み、ゆっくりと街道を進む。
窓から見える景色はいつも通りなのに、
胸の奥は妙にそわそわしていた。
(試験か……どんな内容なんだろ)
そんなことを考えていた時だった。
ガタンッ!
馬車が急に揺れ、俺は思わず前の座席に手をついた。
「うわっ……!」
御者が慌てて声を上げる。
「すまん! 道に落ちてた荷物を踏みそうになってな!」
見ると、道の真ん中に大きな木箱が落ちていた。
誰かが運んでいて落としたのだろう。
御者が馬車を止め、俺も降りて木箱をどかそうとした。
その時――
木箱の横に、小さな冊子が落ちているのが目に入った。
(ん?)
拾い上げてみると、それは学院が発行している
『初等試験のポイントまとめ』
という冊子だった。
「えっ……こんなの落ちてる?」
御者も驚いた顔をする。
「おいおい、学院の冊子なんて普通落ちてないぞ……」
ページを開くと、
試験の傾向、よく出る問題、注意点が丁寧に書かれていた。
(……これ、めちゃくちゃ役に立つじゃん)
胸の奥がざわつく。
(また“おやくそく”っぽい……)
必要なタイミングで必要な情報が手に入る。
前世の物語でよく見た展開。
偶然と言えば偶然。
でも、俺のスキル名は《おやくそく》。
(やっぱり……何かある)
冊子を鞄にしまい、馬車は再び走り出した。
王都が近づくにつれ、街道は広くなり、建物が増えていく。
人の声、商人の呼び込み、馬の蹄の音――
王都の空気が肌に触れる。
そしてついに、学院の試験会場へ到着した。
高い壁、広い門、整備された庭。
リアンが通っている学院の敷地だ。
胸が高鳴る。
(よし……やるぞ)
俺は深呼吸し、試験会場の門をくぐった。
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