◆第14話:前向きな俺と、胸の奥の気づき
今後は1日2話(朝、晩予定)です。
よろしくお願いします
神託の儀が終わり、俺は家へ戻った。
大広間のざわめきがまだ耳に残っている。
ユニークスキル《おやくそく》
レア度F
説明なし
前例なし
どう考えても変なスキルだ。
家の扉を開けると、母がすぐに駆け寄ってきた。
「ゼロ! どうだったの!? 怪我はしてない?」
父も心配そうに眉を寄せている。
俺は深呼吸して、正直に伝えた。
「……ユニークスキルだった。でも……レア度はFで、説明もなかった」
言った瞬間、母の表情が固まり、父が気まずそうに視線をそらした。
「そ、そうか……」
「Fか……いや、でもユニークなら何かあるはずだぞ……?」
ふたりは慌てて言葉を探し始める。
「ゼロは努力家だから!」
「そうだ、レア度なんて関係ない!」
「学院に入れば先生が何か教えてくれるかもしれないし!」
「大丈夫、大丈夫だぞ!」
必死に慰めようとしてくれているのがわかる。
その気持ちは嬉しい。
でも――俺は凹んでいなかった。
「父さん、母さん。ありがとう。
でも俺……全然落ち込んでないよ」
ふたりは驚いたように目を丸くした。
「えっ……?」
「落ち込んでないの?」
「うん。学院に入るための直接的な力は手に入らなかったけど……
でも、俺は頑張るよ。絶対に学院に行く」
その言葉を口にした瞬間、胸の奥が熱くなった。
ふたりは安心したように微笑んだ。
「……ゼロは強い子だね」
「本当に、頼もしくなったな」
その優しい声を聞きながら、俺はふと思った。
(……こうやって慰められる展開、前世の物語でよく見たよな)
主人公が変なスキルを引いて、周りがざわついて、
家族が心配して、でも本人は前向きで。
(これ……“お約束”っぽい流れだ)
もちろん、この世界の人には通じない。
だから口には出さない。
でも――
胸の奥で、スキルの名前が静かに響いた。
《おやくそく》
(……やっぱり、このスキルには何かある)
学院に入るための力ではない。
戦闘向きでもない。
説明もない。
それでも――
何かが始まっている気がした。
「よし……リアンに手紙を書くか」
俺は机に向かい、紙とペンを取り出した。
伝えたいことはたくさんある。
- 神託の結果
- スキルの名前
- でも落ち込んでいないこと
- むしろ前向きなこと
- 来年、絶対に学院へ行くこと
ペンを握りながら、自然と笑みがこぼれた。
(お約束……このスキル、絶対に意味があるはずだ)
そう思わせる何かが、胸の奥で静かに灯っていた。
「ここまでお読みいただきありがとうございます!もし面白い、続きが読みたいと思っていただけたら、ページ下部にある【解説・評価】から評価(★)やブックマークをいただけますと、大きな励みになります!」




