◆第13話:おやくそくの謎
今後は1日2話(朝、晩予定)です。
よろしくお願いします
「では、ゼロ。手を水晶へ」
言われた通りに手を置いた瞬間、水晶が強く光った。
司祭が目を見開き、口をぱくぱくさせる。
「……お前のスキルは……えっ? おやくそく?」
司祭は震える声で続けた。
「ユニークスキルだ……! だが……レア度は……F?」
「F!?」「ユニークなのに!?」「そんなことあるのか!?」
ざわざわ……ざわざわ……
会場の空気が一気に混乱する。
俺は思わず声を漏らした。
「えっ……どういうこと……?」
司祭も首をかしげるばかりだった。
「ユニークで……最低ランク……? 前例がない……」
――ここまでは、ただの混乱だった。
だが、俺の胸の奥では別の感情が渦巻いていた。
(……おやくそく?)
聞き覚えのある言葉。
前世でよく使っていた、あの“お約束”というやつ。
漫画やアニメでよくある展開。
偶然が偶然を呼ぶ、あの流れ。
(まさか……そんな言葉がスキル名になるなんて)
水晶の光が収まり、俺のステータスが目の前に浮かぶ。
【スキル:おやくそく(ユニーク)】
【レア度:F】
説明欄は――空白。
(説明なし……?)
普通のスキルなら、
「火を操る」「剣の威力が上がる」
などの説明があるはずだ。
でも俺のスキルは、ただ名前があるだけ。
意味不明。
効果不明。
前例なし。
(……なんだよこれ)
周囲のざわめきが耳に入る。
「ユニークなのにFって……どう使うんだ?」
「名前からして弱そう……」
「いや、ユニークなら何かあるはずだろ」
「でもFだぞ?最低だぞ?」
好き勝手言われているが、
俺自身もどう反応していいかわからなかった。
ただ――胸の奥にひっかかるものがあった。
(……偶然が続いてたよな)
本が勝手に落ちてきたり、
風でページがめくれたり、
リアンが倒れそうな時に“たまたま”支えられたり。
あれは全部、ただの偶然だと思っていた。
でも――
(もしかして……これが“お約束”なのか?)
物語でよくある展開。
主人公が困った時に限って助けが来る。
必要な情報が偶然手に入る。
危ない瞬間に限って奇跡が起きる。
それが“お約束”。
(……まさか、俺の人生にそれが起きるってこと?)
司祭が俺に近づき、そっと言った。
「ゼロ……このスキルは、わしにもわからん。
だが、ユニークである以上、何かしらの力はあるはずだ。
レア度がFでも……決して絶望する必要はない」
俺はゆっくり頷いた。
「……はい」
不安はある。
でも、それ以上に――胸がざわついていた。
(お約束……俺のスキル……)
意味はわからない。
でも、何かが始まる気がした。
リアンの剣聖とは違う。
派手でもない。
強そうでもない。
だけど――
俺だけのユニークスキル。
(……このスキルの意味、絶対に見つけてやる)
そう心に決めた瞬間、
水晶がほんのわずかに光った気がした。
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