◆第12話:ついに神託の日
今後は1日2話(朝、晩予定)です。
よろしくお願いします
十二歳になった。
ついに――俺の神託の儀の日がやってきた。
昨日まで普通だったはずの朝が、今日はやけに静かに感じる。
家の空気が少し張りつめていて、胸の奥がざわざわしていた。
母が朝食を並べながら、ちらちらと俺の顔を見てくる。
父は腕を組んで座り、落ち着かない様子で足を揺らしていた。
「ゼロ、緊張してるか?」
父が低い声で聞いた。
「……まあ、少し」
「大丈夫だよ」
母が優しく微笑む。
「ゼロは努力してきたんだから。どんな結果でも胸を張りなさい」
父も頷いた。
「そうだ。スキルは生まれ持ったものだが、どう使うかは自分次第だ。
お前なら、どんなスキルでも立派に使える」
その言葉に、胸が少しだけ軽くなった。
食事を終えると、母が服の乱れを直してくれた。
「ほら、袖が曲がってる。今日は大事な日なんだからね」
その手は少し震えていて、母の方が緊張しているのがわかった。
父は玄関で俺の肩を軽く叩いた。
「ゼロ。結果がどうであれ、お前は俺たちの自慢の息子だ」
「……ありがとう」
深呼吸をして、玄関の扉を開ける。
外の空気は澄んでいて、少し冷たい。
いつもの街並みなのに、今日は違って見えた。
(ついに俺の番か……学院に入れるのもあと一年だ)
道を歩くと、近所の人たちが声をかけてくれる。
「ゼロ、がんばれよ!」
「緊張しすぎるなよ!」
「いい結果が出るといいな!」
みんな笑顔で言ってくれるけど、
そのたびに胸の鼓動が早くなる。
伯爵領の大広間へ向かう道は、いつもより長く感じた。
リアンが剣聖として覚醒したあの日のことを思い出す。
あの光は忘れられない。
でも、俺は俺の道を見つけるだけだ。
大広間に入ると、十二歳になった子どもたちがずらりと並んでいた。
司祭がひとりずつ水晶に手をかざさせていく。
「火の魔法使い、ランクC」
「斧使い、ランクB」
「そろばん……ランクD。商人向けだな」
会場は和やかな空気に包まれていた。
そして、俺――ゼロの番が来た。
「では、ゼロ。手を水晶へ」
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