◆第11話:リアンからの手紙
今後は1日2話(朝、晩予定)です。
よろしくお願いします
リアンが王都へ旅立ってから、しばらく時間が過ぎた。
街はいつも通りで、商店も忙しい。
でも、俺の中にはぽっかりとした穴が残っていた。
リアンは十二歳で神託を受け、剣聖と判明した。
そして今年、十三歳になって学院へ入学した。
俺も十二歳になった。
神託の儀はもうすぐだ。
学院に入れるのは十三歳からだから、あと一年でリアンに追いつける。
「よし、今日も勉強だ」
机に向かい、斥候の本を開く。
地形の読み方、魔物の索敵、危険察知。
リアンがいない分、俺は勉強に集中するしかなかった。
そんなある日の昼下がり。
店の前で荷物を運んでいると、見慣れない服の男が声をかけてきた。
「ニエンテ商店のゼロ君ですね?」
「はい」
男は丁寧に頭を下げ、封筒を差し出した。
「王都学院より、リアン様からのお手紙です」
胸が跳ねた。
「リアンから……?」
封筒を受け取り、急いで部屋に戻る。
机の前に座り、そっと封を開いた。
中には、丁寧に折られた手紙が入っていた。
――――――――――
ゼロへ
王都の学院、すっごく広いよ!
剣の授業は楽しくて、先生にいっぱい褒められたの。
「十三歳で剣聖なんて前例がない」って、みんな驚いてるよ。
でもね、ゼロがいないと、なんか変な感じ。
一緒に剣の練習したいな。
森で遊んだり、走ったり、ああいうの、すごく好きだった。
ゼロは勉強がんばってる?
ちゃんとご飯食べてる?
森には一人で行かないでね。
危ないから。
わたし、ゼロが学院に来るの、ずっと楽しみにしてるよ。
絶対来てね。
信じてるから。
リアンより
――――――――――
読み終えた瞬間、胸が熱くなった。
「……リアン」
手紙の文字は、いつもの元気な筆跡なのに、
ところどころ震えていて、
寂しさがにじんでいた。
「絶対行くよ。必ず」
呟いたその瞬間――
ふわりと風が吹いた。
机の上の本が勝手に開き、
ページの中央に大きく文字があった。
『努力は必ず実る』
「……また、変なタイミングだな」
偶然かもしれない。
でも、背中を押されているような気がした。
リアンの手紙を胸にしまい、
俺は机に向かい直した。
(絶対に追いつく。学院でリアンと肩を並べる)
その決意は、風に揺れるページよりも強く、
まっすぐ心に刻まれた。
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