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無魔力の第六王女は敵国に攫われる  作者: 白雲八鈴


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第23話 捕まってしまいました

 薄暗いただのまっすぐの道を進むこと一週間。あ、時間はライラが魔時計を持っているので、わかりましたよ。


 そしてなんと突き当りまでたどり着いたのです。


 本当になにも無くてただ歩くだけの日々が今日で終わるかと思うと、感無量です。


 まぁ、天幕もあるし食料も十分あるので快適な旅であったことには間違いありません。


 そして、見上げると小さな光が目に映ります。

 一週間ぶりの太陽です。


 しかし、そこにたどり着くには縄梯子を登らないといけないようですが。


「姫様。私が先に登りましょう」

「あ、私が先に登るわ。だって、何か危険物が降ってきても、私だったら物が避けると思うし」

「そうですね」


 あっさりと認めるライラ。

 それに、いつつけられたのかわからない縄梯子が突然切れるとか嫌じゃない。


 そう思い、何年物かわからない縄梯子を手に掴みました。


 ん? 思っていたよりしっかりしています。

 使われていないと思っていましたが、野盗のねぐらとかになっていたとか?


 その割には、誰にも会いませんでしたよね。


 私は微妙にしっかりとした縄梯子に首を傾げながら、登っていきます。


 この後は少し休憩してから、川を目指しましょう。

 砂漠の端に川があるはずなのです。


 リエンエラ神教国は砂漠の中の奇跡の国と言われたほど豊かな国だったそうです。

 まぁ、近くに大河があったからなのでしょうが。


 その川を下れば海。

 私、生まれ変わってから海はまだ見たことがないのですよ。


 この世界の海がどんなものか楽しみです。


「うっ、クモの巣」


 縄梯子が異様に新しいから誰かが使っているのかと思っていたのに、さっきからクモの巣や怪しい植物の胞子にまみれるのですけど?


 特にあのキノコみたいな物体! 触っていないのに近づいただけでボフッと胞子を吹き出すなんて公害じゃないのかしら?


 人を胞子の運び役にしようなど、キノコの分際で許せません。絶対にシャワーで一粒残らず洗い流してやります。


 そんな苦難を乗り越えて、地上にでてきました。

 どうやら枯井戸を模した出口だったようです。


「ふふふ。やっと攻略できましたわ!」


 一週間ぶりの太陽が目に染みますわ。


「これで私は……」

「このようなところにいたのですか」

「ひっ!」


 背後からの声に思わず体が強張り悲鳴がでてしまいました。


「探しましたよ」


 恐る恐る、私を探していたと言う人物を確認すべく振り返ります。


 なぜここにリヒトがいるのですか! もしかして幻覚? あのキノコの胞子には幻覚作用があったと!


「まぁ! これはレインアルド皇帝陛下。このようなところで、如何されたのでしょうか?」

「勿論、貴女を迎えに来たのですよ」


 ちっ! 本物でしたわ。



 そして私は一週間ぶりに皇城に戻ってくることになってしまいました。


「それでセレスティア様は、何がご不満で逃亡されたのですか?」


 身を綺麗にして部屋に戻ればリヒトが居座っていました。

 その向かい側に座ってライラの淹れてくれたコーヒーを飲んでいます。


 不満。不満ですね。

 何度言っても直らなかったのですから。


「レインアルド皇帝陛下が何度言っても直してくださらなかったからです」


 この私にだけへりくだる態度。

 皇帝としては見せてはいけない態度です。


「契約はまだ満了していないと記憶にありますが」

「契約が遂行不可だということが、この状況が示しておりますが? 口頭で契約解除をしたのに、書面でというから書面をだしましたのに、受け取ってくれず、代わりに皇妃となる契約書が送られてくれば、それは逃亡計画を練りますわよね」

「婚約届ですよ」

「同じです」


 それに皇妃とかありえません。

 敗戦国の王女など、女妾ぐらいがいいところです。


「皇妃は貴女しかいないと思っておりますよ。聖女セレスティア様」

「私は聖女ではありません」

「そうです。姫様は女神の化身であらせられるのです」

「ライラ。その危険思想から離れようか」


 ライラが時々私に向かって祈るようになって困っているのです。

 あの金色の聖堂を作ってからです。


 あれは、もともとそうなるように作られた空間だったので、おそらく何か仕掛けを起動させれば、再現できたはずです。


 そう、あの月の光で地面に手を伸ばす逆さの女性の姿が浮かび上がったようにです。


 そして、私が振り返ってライラに注意していると、隣に人が座る気配が……そちらに視線を向けると、思っていたより近くにリヒトがいるではないですか!


「それからこれは言っておこうと思います」


 リヒトは何故か私の両手を包むように掴んできました。


「ティア姫が消えたと聞いたとき、どんなに心配したことか。それに私はティア姫に捨てられたのかと思いました」

「……拾ってませんから、その表現はおかしいです」

「合っていますよ。何故なら契約は続いていますから」


 その満了契約書にサインをいただけなかったではないですか!


「それに、ティア姫を好きだと告白したにも関わらず、返事もなく姿を消すなど捨てられたも同然。ということで、ティア姫の返事を聞きたいと迎えに行ったのです」


 ぐっ。返事と言われても困ります。

 ただ、皇妃の地位につくのは違うとはわかります。

 この国の人々はそれを歓迎してはいないと。


「では、質問を変えます。ティア姫は何が好きですか?」

「はい?」



読んでいただきまして、ありがとうございます。



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