表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
無魔力の第六王女は敵国に攫われる  作者: 白雲八鈴


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/24

第21話 夜の皇城脱走計画実行

「やっぱり、夜は冷えるわね」


 私は肌寒いと、腕をさする。


「姫様。お静かに」


 私の前を歩くライラに怒られてしまいました。


 今は、人々が寝静まった暗闇が満ちた皇城内を歩いています。ふかふかの絨毯のお陰で足音が消えてくれています。


 そう、ただいま脱走実行中なのです。


 時折、見張りの兵士とすれ違いますが、堂々とすれ違います。

 これは、私とライラの周りに結界を張って、気配ごと見えなくしているのです。

 ですが、音は聞こえてしまうので、声を出すのは厳禁なのです。


「あとで、外套をお出しします」


 私は収納の魔道具でさえ使えないので、ライラがいなければ行き倒れする確率百パーセントです。


「それから、本当にいいのですか?」

「何が?」

「ここであれば、姫様の居場所が作れるのではないのですか?」


 私の居場所。

 結局、この世界にはないのかもしれない。


「皇妃とか柄じゃないもの」

「そうですね。姫様は女神の化身と言うべき御方、皇妃ごときに収まる器ではありません」

「ライラ、神格化はしなくていいよ」


 聖女の次が女神の化身とか……悪化しているじゃない!


 城の外に出て、月の光が落ちる中庭にやってきました。


 ……これは……私はアーケードの天井を見上げます。


 昼間は青い色ガラスが組み合わされただけの天井と思っていました。

 しかし月の光が天井を通ると、拡散して中庭全体が青い光に満ちているではありませんか!


「月の神を祀った聖堂ってこと?」

「姫様、とても神秘的な光景でございますね」


 月……氷輪の魔眼を持つ皇帝。

 ここはおそらく皇族にとって、とても重要な意味をもつ場所だったのではないのでしょうか?


 あの地下の書庫に行けば、この聖堂の使われ方もわかるのかもしれませんが、ここを出ていく私には関係のないことです。


「そうね。地下道への入口はこっちよ」


 私は更に奥に進み、本来であれば、祭壇がある場所までやってきました。


「この下から濃い魔素が漏れ出ているのよ」


 色違いの石畳を叩いてみますが、特に反応はありません。

 この下に地下へと続く道があるはずなのです。


「姫様。月の神を祀っているというのであれば、月が関係するのではありませんか?」

「それは予想ね」


 しかしライラの言葉も一理あります。

 全体的に青い光でみたされていますが、月の光というには弱い部分があります。


 月ですか……光の屈折で光が拡散しているので、あの天井の色ガラスをどうにかすれば届くと思うのですがそんなややこしいことをするはずはありませんわね。


 ただ、ところどころスポットライトのように光の帯が作られているのです。

 これは意図的に光の帯が作られていると思っていいのでしょうか?


「月の神の名は?」

「月の神に名があるのですか?」


 ライラは月の神の名があることに疑問を呈しています。

 神に名はない? それとも口にすべきことではない?


 テターニア王国では太陽の神を崇めて信仰していますが、確かに神の名を聞いたことがありませんでした。


 今まで何も思いませんでしたが、それはそれでおかしなものですね。


 しかしながら、神に呼びかけるというわけではないと。

 ならば、旅立ちへの祈り?


 いやいやいや、そもそも非物理なことで、実体がある物が動くとは思えません。


 ならば……と、出入口があるであろう地面に顔を近づけ、出入口周辺を横から見ます。


 やはり出入口から濃い魔素が出ていますね。ん? 一つだけ光の反射具合が違う石があります。


 近づいて上から見下ろしても周りと変わらない石畳。


「ライラ。水鏡を作ってこの辺りを照らしてもらえない?」

「かしこまりました」


 こういう細かい作業はライラが適任です。


 存在しない祭壇に祈りを捧げるぐらいの位置に、丁度光の帯が地面に落ちているのです。

 両手を広げたぐらいの大きさの水鏡を作ったライラが、位置を調整しながら地面に当てていきます。


 すると光の反射具合が違う石に当たった瞬間、空中に逆さになった女性が手を地面に伸ばしている姿が浮かび上がったではないですか!


 ……このポーズってなに?



 そう思っていると、ガコンと何かが外れる音がして、スッと地面が動きました。


 月の光でなければ開かないって不便過ぎない?


 私はポッカリと開いた暗闇の穴と、浮かび上がった女性を交互に見る。


 こう見ると光の女性が地下に行く道を示しているように見えなくもない。が! ポーズの意味がわからない。


 まぁそんな、答えがないことを考えても仕方がないので、濃い魔素が吹き出している穴に外気を送り込むように風を入れましょう。


風よ(ヴィス)月の光と共に(エディラテ)地下道を(ボステリア)駆け抜けよ(アファエレバスト)


 すると夜風で換気するための魔法が、『ゴフッ!』と入り口で詰まりつつ、暴風のように地下へと流れていきました。


「途中で崩落していないといいですね。姫様」


 ライラ、それは既に崩落しているという想定なのか、私のせいで崩落しているのではの、どちらの意味か確認していいかしら?


 地下へと続く階段に足をかけたところで振り返る。


「さようなら。リヒト」


 そしてライラと共に、地下へ降りて行ったのでした。


『太陽の子よ。良き旅を……』


 ん? 空耳?


読んでいただきまして、ありがとうございます。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ