第5話 王都への手紙
その夜、ユリアンへ手紙を書いた。
偽の保証書の日付。商人組合の登録番号。私に似せた署名と、使われていた印の形。確かめてほしいことを一つずつ記す。
最後に、私の旅のせいで手を煩わせることを詫びようとして、筆が止まった。
ユリアンは、もう公爵だ。何を出すべきか、自分で判断するだろう。必要な資料を頼み、助けてもらえばよい。
私は長い謝罪を消した。
『屋敷に残る当時の記録を調べてほしい。お前の判断で、使えるものを送ってくれ』
そう書いて封をした。
翌日、ルカは港の荷役人と話し、染料の荷がどの倉庫を通ったか調べてきた。問題の品は、北風屋がルーヴェンに着く前から、銀鷺商会の倉庫に置かれていたという。
「それなら北風屋の荷じゃないだろう」
私が言うと、セシリアが首を振る。
「受け取る前に倉庫へ置く取引もあります。私たちが注文していないことと、誰が注文したかを示さなければ」
彼女は北風屋の仕入れ帳を開いた。
染料の名はない。支払いもない。誰かを代理人に立てた記録もない。
「港の帳簿と照らし合わせます」
「あの役人に見せるのか」
「ええ。隠すものはありませんから」
私は彼女が仕事をするのを、横で見ていた。
前なら、役人に話すのは自分の役だと思っただろう。今は、どの品をいつ買ったか、私よりセシリアのほうがよく知っている。




