第九話 実技でまさかの苦戦をする夜白。
「支給された戦闘服に着替えたら校庭に出るように!」
教室に放送が流れて、誠志郎と美琴が教室の真ん中にあった謎のカーテンを広げだした。
知らないまに決まったクラス委員とやらは、あの二人らしい。
金髪と青髪のクラス委員なんて、覚醒紋じゃないと存在しないだろうな。
教室のど真ん中に厚いカーテンが引かれた。
なるほど、男女で着替えをするための工夫か。
「お? 楓と同じ服」
「近距離か遠距離かで分かれてるみたいだな」
なるほど、和成の服は裾が長い。
近距離だとこするな。俺も元の大賢者ならあっちの服だったな……。
女子のほうが着替えが遅そうだ。待ってると、俺の袖を和成たちに引かれて強引に連れ出されてしまった。
校庭に出ると、また違う服装の一団がいた。
「あの人たちは……手が鏡の覚醒紋ってことはアシスト科か」
「八咫鏡って言わないと、武器作ってもらえなくなるぞ、夜白」
覚醒紋は三種の神器に見立てられてるけど、どうもアシスト科は配信でただの楕円と馬鹿にされることが多いらしく根に持っていると楓が続ける。
そんなアシスト科は、ハンター科の誰かしらの名前を呼んで歩いている。
武器を作るパートナーというやつだな。
「あ、僕呼ばれてる。じゃねー」
和成はさっさと探してる相手の元へ行き、楓とうろうろしているとマヒルたち女子もやってきた。
「マヒ――」
「不破夜白くんだね?」
眼鏡をかけた長い髪の女性が俺に話しかけてきた。
「あなたは?」
「白峰花鈴というの。花鈴と呼んでね。こっちも夜白と呼ぶから。アシスト科、Sランクジョブの錬金術師よ」
SランクにSランクが付くのか?Sランクだからこそ、弱いジョブと合わせるんじゃないのか。
「枝振ってる配信見たよ。今日は、しっくりくる剣の長さと重さをはからせてね」
「わかった」
効率的な人だな。
てきぱきとしていて、知的な感じがする。
校庭にはたくさんの木のマトがあった。俺はどうやら一番前らしい。
横に、箱が置いてあっていくつもの剣が入っている。
「配信ドローン、出してね。こっちも出すから」
配信用ドローン、まさか初回の実技から使うのか?
そういえば楓や和成はなんか小さなアタッシュケースみたいなものを持ってたな。
聞いておけばよかった、俺のは収納魔法の中だ。
懐を探すふりをして、そこから配信用ドローンをなんなく出してごまかす。
花鈴からは「まさかケースにいれずに素で持ち歩いてるの? 壊しても知らないよ」と驚いたふうに言われたが、学校が配ってくれよそんなもの……。
「ケースって売ってるんだな」
「学校の売店で普通に売ってるよ?」
しまったな、これもおそらく聞き逃しだ。楓たちは寮に帰る前に買ったから、まさか俺が買っていないとは思わなかったんだろう。
召喚魔法で誰かに買いにいかせるか? それとも分身魔法で買いにいくか?
「五万くらいだったかな。専用のショップにいくと、もっと高いけどいいやつがあるよ」
……五万も持ってない。両親には制服だの、この実技服だのでお金をかけてしまっているからな。
「五万って配信ですぐ貯まるか?」
「え? うん、夜白ならすぐじゃないかな。今日から投げ銭システムも入るし」
よし、自力で稼ごう。それまでは収納魔法でごましていくしかない。
配信ウォッチでスイッチを入れると、配信用ドローンはすぐさま動き出した。
「こんにちは、夜白です。今日は初の実技授業です」
配信のしゃべりは、きらりとさんざん練習したからな。少しはましになっているはず。
「こちらは、俺のアシスト担当の花鈴さんです。Sランクの錬金術の方です」
〇きたきた、待ってたよーやしろくん!
〇武器選びかー、細身の剣か大剣か期待高!
〇Sランクの補助がSランク。性能エグそう……。
〇<¥500>少ないけど、初のやしろくん宛の投げ銭
〇マジで少なすぎて草。お手本してやんよ。 <¥1000>
〇お手本ひどくて大草原w
〇いやいや、投げるとこはこの先でしょうよ
「まずは――これを試しますね」
剣の詳細は、花鈴が説明してくれている。俺まで同じ説明をすることはないだろう。
やや細い長剣だ。箱の中にはもっと長い長剣もあるが、まずはスタンダードに行こう。
「まずはこれに――」
魔力をそっと糸のように流し込む。
あまり頑丈そうには見えないからな。
――バリーン!!
剣が爆発した……?
〇は??なにこれなにこれ
〇今きたとこ、説明もとむ
〇超訳:剣聖が剣握ったら爆発した件
〇爆発した瞬間、同接五万から八万に増えてて草
「今のは合わなかったみたいですね! 次行きます」
俺はもっと頑丈そうな剣を取り出した。
離れたところから解説動画を入れていた花鈴も、唖然としている。
今度こそは、もっと少しずつ魔力を……。
――バーーン!!
物理耐性がついているから、俺はなんともないが、剣は再び四散した。
え……これ、どうすればいいんだ?




