第十話 初めての逆境に陥る夜白
初の実技授業は、箱の中の武器をすべて破壊して終わった。
なんでだ……? 前世、武器は持たなかったからな……。この現象が何なのかわからない!
花鈴は、OBの作品と自分の作品の成れの果ての前で呆然としてる。申し訳ない。
「なんだ、不破のところはもう終わったのか?」
アビリティインストラクターの藤川太郎が来た。
今後、ハンター科の実技の担任になるそうだ。
Aランクジョブの魔法剣士で、魔法にも剣士にも助言ができる便利職。
おしむらくは、大きな声と癖が強いことだ。
だが、藤川が原因を分かるなら、俺は師事するぞ。
「実は……」
俺と花鈴とで、状況を説明すると藤川は大笑いした。
「そんなバカなことはない! 確か不破は攻撃力40だったな? レベル1で攻撃力40でも剣が爆発するわけがないだろう」
そんな馬鹿なことが起きて終わったんだが?
藤川め、実はそんなに強くないのか? とりあえず鑑定してみるか。
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藤川太郎
レベル 45
ジョブ 魔法剣士
体力 300
魔力 350
攻撃力 400
防御力 300
俊敏性 200
スキル フレイムスラッシュ、エアロスラッシュ、サンダーブレード、オーラブレード
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レベル45か、まあまあなのか?
「とりあえず、もう一回やってみろ」
藤川は楓の武器箱から、刀を二振り選んで持ってきた。
そういえば、派手な爆発音のせいで配信を終えたものはもちろん、途中のものもこっちを見ている。悪目立ちは好きじゃないんだが。
「気合をいれろ! さあ」
この上気合なんていれたら、ますます爆発する未来しかないけどな。
でも、そっと魔力を押し出したせいでああなったのか?
だとしたら、一気に魔力を込めてみるか。
「よし」
ドオオオン……!
俺の手から衝撃波が走った。
武器は跡形もなく、持った右手の真下周辺にやや大きい穴が開いている。
「なんだ、今のは……!!」
藤川、言った通りだっただろ。そんな未知な顔をするな。
やはりそっと魔力をいれたほうが、かけらでも武器は残っている。一気に入れただけ、今回はかけらもなにもない。
この検証で分かったのは、俺の攻撃力40+999999に耐えうる武器素材じゃないってことだ。レベル1だからと弱い装備を持ってきているんだろう……。
レベルは間違いなく1なんだか大賢者の時のステータスが、大幅に邪魔をしているな。
「根性だ! 頑張ればなんとかなる!」
古い根性論だ……。そんな根性で40+999999がどうにかなるわけないだろうに。
藤川はそれでも、今度は金属じゃない木剣を山のように運んできた。長さも太さも色々だ。
その後、全員配信も終え、アシスト科との相談も終えたクラスメイトたちの前で、俺が武器を破壊するだけの地味な地獄絵図が流れる。
「先生、ちなみにもっといい素材の武器は借りられますか?」
「いいか、基本は担当するアシスト科にハンター科が素材を渡して、アシスト科はそれで武器を作るんだ。卒業生や在校生の傑作はたくさんあるが、所有者は学校か担当ハンターだ。使うとなると、壊したとき――自費になるぞ」
なんだ、この学校は。自費自費うるさいな。
じゃあ、俺は当分武器なしだな。
昼に、マヒルの装備を作るついでに自分の素材もとってくるか?
ただ、そうすると花鈴に説明しなきゃならなくなる……。道に落ちてたと言って信じてくれるか?
花鈴は、虚無の顔でひたすら俺が壊す武器の末路を眺めている。この先、自分が作るものの末路に見えるんだろう……すまない。やりたくてやってるわけじゃないんだが。
午後のダンジョンは素手でいいや。スライムだしな。
昼休みには軽快に魔法使ってやろう。
「花鈴、もし俺が素材を手に入れたら、それで武器を作ってくれるか?」
「……今日はその使える武器の相性を測る予定だったんだけど?」
「重めの大剣でいい。かなり重くてもいい」
頑丈なほど、魔力流しやすいからな。
「ちょっと待ってて」
花鈴は、冷や汗を流しながら逃走する藤川から剣を奪って戻ってきた。
やるな。
「これ、ちょっと持ってみて」
「待て―!! それは大事な俺の愛刀……!」
軽く握って構えてみる。
魔力を込めたら、これも破裂しそうだな。もっといい武器買えよ?
「これより重め?」
「そうだな、刀身も長めで厚みは――」
あ、そーか。これをするだけだから、魔力込める必要なんてなかったのか!
実技実技、といっていたしマトもあるから、技を出すんだろうと思っていたがこれでいいのか。
……そう考えるとかなりの犠牲を払わせたな俺は……。
藤川、安心しろ。気が付いた以上俺は壊さないぞ。
「頼む――! まだ前回のローンがあと五百万もあってだな!?」
ああ……。前回高い剣を買いすぎて今回はこんなにもろいのか。
当分担当クラスはダンジョンの深いところにいかないと踏んで、ちょろい装備なんだな。
「ふじやん、だっさぁ~」
金髪ギャルの美琴が笑いだしたので見ると、藤川は気絶していた。
だから、壊してないっつうの。




