第八話 サポートに悩む夜白
俺は瞬間移動で登校していた。
昨日も場所が分かるのだから、隠形魔法かけてバスに乗ることはなかったのだ。
校門にはマスコミらしき人たちが複数人いる。入ってくる生徒を待ち受けているのか……。
まったく映らないと逆に問題か?
校内に瞬間移動したものの、いつも映らないと変に思われそうだ。
隠形魔法をかけていったん校外に出てから、魔法を解いてダッシュで校門を通り過ぎる。まったく無駄な行為だな。
「おはよう、夜白! 表の配信者に捕まらなかったみたいだね」
「マスコミじゃないのか?」
「いやー、あの人たちは僕たちダンジョンライバーを応援したり炎上させたりするチャンネルの人たちだよ」
なんだ。無駄に映ってしまったじゃないか。
和成は笑っているが、楓は眠そうな顔をしている。
寮は申し込んだ順の連番で部屋が決まり、楓と和成は同じ二人部屋だったらしい。
楓は新しいベッドが体に合わなかったそうだ。
「マヒルちゃん、大丈夫かな」
まだ登校してないな、俺の魔力探知にひっかからない。
きたら、俺が援護する予定だ。
和成と楓は何やら提出した書類の話をしだした。
何かもう提出物があったのかと焦ったが、寮の関連らしい。
「やっぱりランクで値段の差が生まれたねー、楓のCランクいいなー」
「でも、DランクのおまえはEランクよりはだいぶ安いらしいぞ」
「寮で何がランクに関係するんだ?」
俺が話題に口を突っ込むと、ほぼ同時に「お金!」と言われた。
「ランクが高いとそれだけ入寮にかかる費用が安くなるんだ。夜白だったら、一年で数万じゃないのか」
「そーそー! これを提出するために今朝は早かったんだ。親と連絡とりつつ」
なんだか格差があって嫌だな。
俺は通える距離だから、もう少し遠くても瞬間移動から入寮することはないが。
妹のきらりがいる限り、自宅から通うな。
「ん?マヒルが近づいてきたから、迎えにいってくる」
「いってらっしゃーい」
「……今、夜白スマホ見てたか?」
おっと、連絡がきたふりでもすればよかった。
楓は鋭いな、今後気を付けよう。
他の生徒を飛びこし、身体強化を使って校門に向かうときにまたも誠志郎の青髪を乱した気がする。
やばいな、また絡まれるかもしれん。
「マヒル、おはよう」
「おはよう、夜白くん! わわっ」
さりげなく、マヒルの手をとって隠形魔法をかけると俺は人ごみに突っ込んだ。
マヒルの手を掴んだ寸前まで俺自身も隠形していたので、そう不自然じゃなかったはず。
今日は朝も午後も実務の勉強だ。特に午後はダンジョン実践だ。
午後こそ、マヒルにサポートアイテムを作りたい。その辺の石などに魔力を込めたが、砕けるだけで全然アイテムにならなかったからだ。
「マヒル、ダンジョンにせめてミスリルはあると思うか?」
「夜白くん、ミスリルはFランクダンジョンでは三十階以降だよ?」
昨日見た過去配信は、剣士系の戦いのものが多かった。
ダンジョンのドロップ品を見るなら、企業系のプロのギルドのほうを見ればよかった。
学校を卒業後、覚醒紋者は大体ギルドに入る。スカウトされるもの、売り込んでいくもの、どこかに所属になる。
「なら、今日三十階までいくしかない……」
「え、今日は一階だけだと思うよ?」
だろうな。レベル1をそんな深くまで行かせてくれるわけないよな。
つまりこっそり行けば問題ないわけだ。
実は朝食前に瞬間移動して、ダンジョンゲートをくぐろうとしたんだがゲートまえの入り口が配信ウォッチに反応するようになっていた。
つまり隠形しても通過すればゲートの記録に残ってしまう。結論、魔法使えるのバレる。
外せば、ゲートは開かず、こじあけたら跡が残るだろう。そこで再生魔法をかけてもいいが、ゲートの前でもたもたしすぎてしまう。
いったん朝ごはんを食べに家に戻り、煮物と煮魚を食べながら新しい魔法を創造することにした。
新しい魔法は、透明化と生命・魔力遮断が一体化した、存在偽造魔法。ノウ・エグジスト。
ウォッチはその時にいったん収納魔法でしまえばいい。
昼ごはんの隙にすり抜けてミスリルを発掘してこよう。
それでなにがしかの装備を作って魔力を込めれば、マヒルは召喚術が使える。
あとはそれでレベル上げをすれば基礎魔法は、後からついてくる。
「マヒル、午後のダンジョン実技、頑張ろうな」
「う? うん。頑張ろうね!」
昼休みは、久々の魔法大放出だ。




