第77話 魔王と戦う夜白⑪
とっさにドロップした杖を掴むと、走りながらマヒルへ投げる。
和成は俺の目配せだけで、神聖結界を展開した。
そのまま俺は結界に群がった魔物の群れに突進する。
倒すより先に、魔力ドレインをしよう。魔力ポーションを飲むより早い。
「マヒル、広範囲魔法は少し待ってくれ」
杖を握ったマヒルから、強い魔力が立ち上っている。
それを見ながら、手あたり次第にドラゴニュートやアイスエルフなどを魔力ドレインで抜き取っていく。
さすがにワイバーンは届かないので切り裂くが、レッサードラゴンからも魔力を盗みとった。
「か、加勢するぞ!」
立ち上がったのは藤川だった。
座り込んでいた生徒たちも、結界越しに攻撃を開始する。
魔力を吸い取られた魔物たちは、魔法が使えない。それだけでも皆のやる気があがった。
俺は触りながら、どんどん奥まで突き進んでいく。
「ジャッジメントスパーク!」
俺が離れた地帯に、マヒルの魔法がさく裂した。
結界の向こう側が白く光って弾ける。
オロバロスの眷属がその周囲から消し飛んだ。
そのままマヒルは結界を飛び出し、見る間に俺に追いついた。
鑑定する時間はなかったが、杖には魔力と俊敏性とかなりの魔法スキルが入っていたもんな。
俺は結界への魔力を少し減らす。もう大元はいないしな。
『では、最深部はそれがしにお任せを』
ザガン、いいのか? まだ五割程度しか回復していないけど。
『十分ですぞ。分身はしませんが、底から狩っていきます』
「夜白くん、魔力は!?」
マヒルたちは、アシュラオーガ肉で魔力ドレインを受けている。
俺が何をしているのかが、分かったんだろうな。
「なんとか、最低限は確保したけどまだまだぎりぎり」
「わかった、魔力ドレインをされた敵から私が倒していくね」
マヒルが心強い。
図らずとも、俺のパーティーメンバー全員に魔王ドロップ武器が揃った。
〇凄い凄い、SSSランク倒しちゃった!
〇マヒルちゃんもヤバくない?
〇人外パーティー完成された
〇和成の結界も耐えきったもんね
〇楓もドラゴニュートとかはばっちり倒してたもん!
〇その楓が攻撃してノーダメのSSSがやばかった……
〇まだ手汗がやばい
〇最高すぎる剣聖!!
〇俺の祈祷が届いたな
〇また後方仲間ツラが増えたw
「皆さんには、感謝しています」
回転しながら、俺はドローンのほうを向く。
実際俺はみんなのほうに配慮を回す暇がないときも、コメントが他のみんなのことを中継してくれたので、かなり助けられた。
「みんなのことを中継してくれたり、応援してくれたおかげで倒すことができました。ありがとう」
最初は、配信なんて邪魔だと思っていた。
目立ちたがりが好むものとか、記録できれば十分だとか。
でも、そうじゃなかった。
勿論、剣を爆発させていたころはおちょくるようなコメントは多かったし、嫌味もあった。
それでも、その頃から応援してくれる人はいたし、今はこれだけの数が認めてくれている。
こうした体験も、前世のイグニスのままでは理解できなかっだろうな。
「感謝しています、本当に。今後もよろしくお願いします」
〇夜白たん……(号泣
〇最初と比べると、雰囲気柔らかくなったよね
〇こちらこそだよおおお!今後も推させてくれ!
〇同接一億人以上がガチ泣き(´;ω;`)
〇こんなに成長して……
〇I’m your biggest fan. I truly love you, Yashiro.
海外勢からも数か国語でコメントが入る。
俺は笑顔で、魔力ドレインをしながら進む。
後方からは、和成が結界を展開しながらじりじりと前進していた。
あとは、魔王オロバロスの残した大量の眷属を倒すだけ。
数は多いが、マヒルがパワーアップしてくれたおかげでだいぶ楽だ。
あとは地味すぎる魔力ドレインを続けて、俺は回復を続けるしかない。
紅蓮一閃あたりを五回打てば、空になるぞ。
『我が王、ゆっくりと回復してくださいませ』
ザガンも遠慮しながら俺の魔力使ってくれて、ありがとな。
俺は眷属たちから、魔力をどんどん取り返すぞ。
わぁぁと歓声が、突如あがった。
振り返ると、有名なギルドの面々が加勢に駆け付けてくれたのが見えた。




