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元大賢者、転生してレベル1からダンジョン配信  作者: 相木ふゆ彦
第三章 四天王編

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第66話 アイテムを入手した夜白

 魔王サングロスの残した武器は、回復特化の杖だった。

 毒の無毒化をするキュア・ポイズンや、神聖結界、パーフェクトヒールなどのスキルが付随している。これは和成向けだな。

 

 ただ、外では俺の分身が戦っているわけで、何とか入れ替わって分身に戻ってもらわないとならない。

 存在虚偽魔法で近づくも、俺の分身体は無傷だった。

 

 魔力が厳しいが、回復魔法をかけるべきだろうか……。

 まあ、乱戦してるからいいや、和成に直してもらおう。

 

 楓が、グラキエスの双刀でアシュラオーガの一体と攻防をし、分身の俺とマヒルと朝日で残り二体を対応している。

 大きな巨体の影に俺の分身が隠れた瞬間、俺と分身は合体してもとに戻った。

 

 存在虚偽魔法は解除して、ヒールを繰り返している和成にサングロスの杖を投げる。

 

「和成、受け取れ!」

 

「え? 杖?」

 

「回復を頼む……!」

 

 きらりはその間に、マヒルの結界の中に逃げ込む。マヒルの上でザガンが守護結界を張っているのだが、どちらもギリギリだ。

 アシュラオーガも顔が三つ、腕が六本、おまけに火も吐く、S級ダンジョンレベルだった。

 

 三割の分身が戻ったところで、この苦戦具合が分かった、こいつも再生するらしい。

 ザガン、待たせたな。 

 

『我が王、このザガン、約束通りに守り通しましたぞ』

 

 うん、助かった。こいつの防御力じゃ、みんな苦戦するはずだ。

 だが、再生元のエネルギーであるサングロスが死んだんだ。これ以上は再生しないはず。

 

 俺は心臓を狙って、轟滅黒剣(ごうめつこっけん)でアシュラオーガを切り上げた。

 その刹那、ケガをした肩が疼く。

 魔剣はアシュラオーガの心臓二個目を貫いて止まってしまった。

 

「アイシクルランス!」

 

 すかさずマヒルの魔法が残った三個目の心臓を串刺しにする。マヒルもとっくに魔力が限界だろうに。

 

「パーフェクトヒール!」

 

 和成がすかさず新しい武器を使いこなして、俺を回復させてくれた。

 重かった肩や腕が、瞬時に直っていく。

 

「リフレクト・シールド!」

 

 アシュラオーガの炎を反射して、朝日が楓を守る。楓は近距離攻撃のために、完全に結界から出ていた。それでいて、目は戦いにギラギラしている。

 

「アーマーブレイク!!」

 

 楓が担当していたアシュラオーガの鎧がはじけ飛ぶ。そのまま防御が甘くなった胸元に、楓が連撃を加えた。

 俺が三体目のアシュラオーガを倒した瞬間に、楓も目の前の敵を葬る。

 

 ドン……という鈍い音が二つ重なって、アシュラオーガが全部倒れた。

 再生する兆しはなく、その体はハラハラと魔石と魔肉に変換されていく。

 

 残ったのは、三個の巨大な魔石と肉だけだった。

 

「――――!!!!」

 

 声にならない歓声が、校庭から沸き上がる。

 校門の裏に潜んでいた中学生たちも、叫びながら結界内にいた生徒と合流していく。

 

 エネルギーを使い果たしかけたひょろひょろのザガンが俺の中に戻ってきて、静かに回復を始めた。

 

「ありがとうございました!」

 

 一人の言葉を皮切りに、ありがとう合唱が広がって俺たちを囲む。

 俺は地面にひっくり返りたかったが、抱き着いてきたきらりに体重を預けてなんとか我慢をした。

 

 マヒル、朝日、楓、和成も同じだろう。

 全員で、背中を預けて拳を重ねる。

 ほんと、よく頑張ったよな。

 

「おーーーーーい!」

 

 宇賀神ハンターの声と、大勢の大人の声が聞こえる。

 DCAの制服と、アビスオーダーの名前が入った装備の人たちがなだれ込んできた。

 

 ――ちょっと遅かったな。

 このあと、かなり叱られるだろうと思いながらため息をついた。

 

 きらりは、まだ俺の腕を掴んで泣いている。

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― 新着の感想 ―
みんなでやっつけたね。みんな無事でよかったぁ。ヤシロのケガもあっという間に回復したし。お疲れさまぁ
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