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元大賢者、転生してレベル1からダンジョン配信  作者: 相木ふゆ彦
第三章 四天王編

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第63話 魔王と戦う夜白⑤

 きらりの中学校は、混沌と呼べる騒ぎだった。

 たくさんの生徒が校舎から走り出て、絶叫している。そしてそれを追う魔物たち。

 

「オレと和成、朝日さんとマヒルさんで別れよう。夜白は単独。ポーションどれだけ持ってる?」

 

 実技服に着替えないで来たから、みんな制服だ。

 連れてくるなら、俺以外は着替えてもらえばよかった。

 

「ポーションなら五十個ある。みんな持てるだけ持って行ってくれ」

 

 魔力ポーションも、収納魔法からあるだけ出す。C級ダンジョンでの魔石を買い取ってもらったときに、少し買いだめしたやつだ。

 もっと買っておけば良かった……。

 

 今回の敵は、知らない間に俺の弱点を探りに来ている。こない間にもっと手を打っておけば。

 

「わかった。持てるだけ持っていく!」

 

「任せて!」

 

 四人は、それぞれポーションと魔力ポーションをポケットに詰め込む。

 こうしている間にも、ザガンは一人できらりを守っている。

 

「戦いで深追いはするな。なるべく校外に避難させて」

 

「わかってるよ、夜白。けが人を出さないこと、守りながら生徒をどんどん学校の外に出すこと。メインは救助だ」

 

 力強く、和成が頷いて、校内でどう別れるかをざっと作戦を立てた。

 

『我が王、きらり殿は体育館です!』

 

「……俺は体育館にいく」

 

 朝日が、つま先立って俺の頭を撫でる。

 

「そこにきらりちゃんがいるんだね?」

 

「ああ……魔王の狙いはそもそも俺だから」

 

「わかってる、行ってきて」

 

 そうこうしている間にも、校舎からは悲鳴が止まらない。

 マヒルが先頭にたち、それを朝日と楓と和成が追う。

 

 俺だけ、校舎からずれて体育館へと直行した。

 ふと、それでも罪悪感で宇賀神ハンターを思い出す。一言、ここの住所を送って遅れてでもプロハンターを送ってもらわないと。

 

 既に教職員が連絡をしているかもしれないが、魔王が絡んでいるとは知るはずがない。

 俺はGPS情報と魔王がらみなこと。そして無断でみんなで抜け出したことを詫びた文章を、チャットに送信してからスマホをしまった。

 

「せいっ!」

 

 校舎の上空で旋回しているワイバーンを、四体まとめて飛ばした斬撃で叩き落す。

 マヒルが結界をしこうと、朝日が防御しようと上空からこの破壊力は、長く持たないだろう。

 

 俺は久しぶりに分身の魔法で力が3:7になるように分かれた。防御は3のほうで大丈夫だろう。

 分身体には、校庭に留まってワイバーンを含めての魔物討伐を任せる。

 

『我が王、この魔王は血哭王サングロスと名乗っております。申し訳ございません――その手にきらり殿が』

 

 体育館の扉を、俺は乱暴にこじあけた。

 形が曲がった扉は、音を立てて地面に転がる。

 

 マンティコアとケルベロスが、すぐさま牙をむいて襲い掛かってくるのを轟滅黒剣(ごうめつこっけん)で受け止めた。

 その巨躯を押しのけて、一撃で上下に真っ二つにする。

 

 もう俺は、その血を避けるつもりもなかった。

 ザガンはよくやった。

 許せないのは、魔王サングロスのほうだ。

 

「ぶっ殺してやるぞ……」

 

《ひひひひひ、懐かしのイグニス・ランツァだなぁ。アグニラやグラキエスは倒しても我は倒せまい……》

 

 ほとんどどくろのような人型は、頭を三つ持っていた。

 六本の腕の一つに――真っ青になったきらりがしっかりと掴まれている。

 

「今、助けるぞ……きらり」

 

 色を失った唇が、俺をみて震えが止まった。

 すぐに、助けるからな。

 

 しっかりと頷くきらりを見て、俺はザガンと打ち合わせをした。

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